平成25年 第2回定例会 代表質問
〇六十三番(谷村孝彦君) 私は、都議会公明党を代表し、知事、警視総監、教育長並びに関係局長に質問いたします。
初めに、都営バスの二十四時間運行について質問します。
猪瀬知事は、現地時間四月十五日午前、ニューヨークで、都営バスの一部路線において年内に二十四時間運行をすることを突如として表明し、昨日の所信表明でも改めて言及されました。決断の理由として、世界のビジネスは二十四時間動いている、私たちのライフスタイルに一石を投じるためとしております。
東京の魅力向上への知事の熱意は少なからず伝わってまいりますが、その手法に対して、都民の中には、二十四時間運行による消費エネルギーの増加など環境への悪影響、眠らないまちの治安の悪化、深夜、早朝の運転士確保による人件費の増加、これまで行ってきた行政改革との整合性などを疑問視する意見もあります。
加えて、都営バスはいまだ赤字事業であり、二十四時間運行の採算性の見通しも明らかにされないままでの決定に対し、赤字が拡大し、他の不採算路線の存続にも影響が出るのではないかと懸念する声も上がっております。
こうした都民の声に真摯に耳を傾け、慎重に検討すべきと考えます。見解を求めます。
あわせて、運行ルートに予定される渋谷・六本木地域における盛り場総合対策の取り組み状況と今後の課題について警視総監に答弁を求めます。
次に、保育所の待機児童解消について質問します。
都は平成十三年度より、大都市の保育ニーズに対応するため、その特性に着目した都独自の基準を満たす認証保育所の設置を促進してきました。また、継続して深刻な課題となっている保育所の待機児童解消のため、都議会公明党が求めてきた定期利用保育、短時間保育、一時保育などに加え、今年度からはスマート保育を開始するなど、都は、重要施策として多様な保育サービスを拡充しております。
また、都議会公明党が待機児童解消に向けた保育士の確保対策を緊急に申し入れたことにこたえ、都が今定例会の補正予算案に保育従事者の処遇改善策を組み入れたことも高く評価いたします。
しかし、都内の待機児童数は依然として七千人を超え、サービスの需要に供給が追いついておりません。また、保護者からは、認可保育所と認証保育所の保育料の差が大きく、経済的理由から子どもを認証保育所に預けられない、保育料の差額補助があっても、市区町によって大きな差があるとの声も寄せられております。その結果、都内のある市からは、今年度、待機児童が百人以上いるにもかかわらず、四月当初では、認証保育所の定員に百人以上のあきがあるという皮肉な実態も報告されております。
一方、認証保育所の事業者からは、人件費などの運営費を考えれば、これ以上の保育料の引き下げはとてもできないとの声が上がっております。認証保育所の保育料を引き下げる方法の一つとしては、やはり認証保育所を国の制度として位置づける必要があります。保護者や事業者の声にこたえるためにも、平成二十七年度から始まる新たな子ども・子育て支援制度の中に認証保育所制度を位置づけるよう、国に対してこれまで以上に強く求めるべきであります。知事の見解を求めます。
また、保護者からは、多様な保育サービスの広域的な情報を求める声が上がっております。都は、横浜市が実施した保育コンシェルジュのようなきめ細やかな利用者支援の取り組みが市区町村において行われるよう支援すべきであります。また、広域的な情報が利用者に届くように、行政区域を超えた取り組みが進むよう市区町村を支援すべきであります。見解を求めます。
雇用の回復こそ景気回復の本丸でありますが、年齢や特性に応じた就労支援がとりわけ重要となります。特に若年者の就労支援を強化する上では、都立高校を進路が未決定のまま卒業する生徒や、中途退学者などへの適切な支援が欠かせません。
都はこのたび、都立高校の中途退学者等の追跡調査を初めて行い、去る三月、その概要を公表しました。
詳細な分析及び議論は今後に譲りますが、退学後に正社員となった生徒の多くが、働くための知識や経験を学校で身につけられる機会があれば退学はしなかったと回答している点がとりわけ注目されます。学校でのキャリア教育の重要性を改めて浮き彫りにした調査結果ではないでしょうか。
都は今年度、中途退学の予防、進路未決定卒業者や中途退学者への支援を強化するため、NPOなどと連携した新規事業を開始するとしております。本事業はモデル実施のため、当面はNPO関係者が幾つかの実施学校を巡回するものと思われますが、事業効果を高めるためには、NPO関係者が日ごろから在学生徒と触れ合い、親しむことが大切であります。親近感が自然な形で醸成されていなければ、中途退学に至る前の相談も、中途退学後の良好な信頼関係も築けるはずがありません。
そのために、例えば本事業に参画するNPO関係者などを実施学校におけるキャリア教育と連携する中で活用していくことが大切であります。本事業全体の政策効果を高めるための取り組みについて、都の見解を求めます。
都内では二年後に、六十五歳以上人口が四分の一に及び、その二十年後には約三割に達します。超高齢社会が間近に迫る中、持続可能な都内経済の発展を導くためには、元気で意欲のある高齢者の方々には、可能な限り社会を支えていただく側に回っていただくことも肝要であります。
一方、本年四月からは、改正高年齢者雇用安定法が施行され、希望者全員に対する段階的な六十五歳までの雇用確保が義務づけられました。これ自体は大変に評価すべきことでありますが、定年後の第二の人生で新たな挑戦をする際に必要な気力と体力のタイミングをはかることが非常に難しくなるケースも出てくるとの指摘があります。より多くの高齢者の方々に定年後も引き続きご活躍いただくためには、より早い段階から、高齢期を見据えた、いわゆるキャリアの棚卸しや生活設計を導くことが必要となります。
また、働き盛りの中高年の求職者にとっては、みずからの知識、経験に見合う求人情報が少ないため、やむを得ず単純作業に従事している事例が少なくありません。日本経済の発展を長く支えてこられた、こうした方々の貴重なノウハウを生かすためには、異なる職種での経験を生かし合う中高年連携の創業支援も強化すべきであります。
定年後に向けた適切な人生設計のため、都は、個別的な相談を強化すべきであり、中高年向け求人のミスマッチ感の解消に努めるべきと考えます。中高年齢者が自己の適性に即した高齢期の働き方を効果的に選択できるよう支援すべきと考えますが、見解を求めます。
次に、首都直下、多摩直下地震等の災害から都民を守る防災、減災対策について質問します。
まず、非構造部材の耐震化についてであります。
東日本大震災では、都内でも天井、壁、照明器具、窓ガラス等の落下による人的被害が発生したことから、非構造部材の耐震化は極めて重要であります。特に、児童生徒が学ぶ学校や多くの人が利用する公的施設は災害時に避難所ともなるため、早急に対策を講じる必要があります。
都立学校の非構造部材については、今年度から三年計画で耐震化に着手しておりますが、公立小中学校の施設については、具体的な整備計画がいまだ明確になっておりません。市区町村に対し、整備計画を早急に策定するよう促すなど、耐震化に向けた取り組みを強力に後押しすべきであります。見解を求めます。
次に、帰宅困難者対策であります。
都は、首都直下地震による一時滞在施設の需要を九十二万人分と予想し、そのうち七万人分を都立施設で確保しました。残る八十五万人分の一時滞在施設は民間等に協力を依頼することになりますが、民間事業者からは、一時滞在施設として協力するに当たり、帰宅困難者を受け入れる際の事業者責任に関して基準等が明示されないと安心して対応できないとの指摘が出ております。
都は国に対して、発災時の損害賠償責任が事業者に及ばない制度の創設を要望しておりますが、制度の創設に当たっては、協力を求める事業者の意見を十分反映させるべきであります。見解を求めます。
次に、液状化対策についてであります。
これまで都議会公明党は、本会議や予算特別委員会において、首都直下地震に備えた液状化対策について継続的に取り上げ、面的整備事業に合わせた対策の必要性を主張してまいりました。ことし三月には、国土交通省においても、宅地の液状化被害可能性判定に係る技術指針案を発表し、液状化対策に関する国費助成の方針を打ち出しました。その後、四月には、正式に技術指針として発表するなど、いよいよ公明党の掲げる防災・減災ニューディール政策のもと、国による対策が具体化しつつあります。
国が動き始めた今こそ、都は、区画整理などの面的なまちづくりに合わせて、区と連携して液状化対策推進の支援策を講じるべきと考えます。見解を求めます。
次に、公社住宅についてであります。
公社住宅は、戦後の復興期や高度経済成長期の深刻な住宅不足を背景として供給が開始されたことなどから、全体約七万戸の半数以上が築四十年以上となっており、耐震化やバリアフリー化に対する要望の声が日増しに大きくなっております。居住者の方々が安心して暮らしていくためには、まずは公社住宅の耐震化が喫緊の課題であり、住宅の老朽化状況によっては建てかえなども計画的に実施していくことが必要であります。
現在、公社住宅の建てかえは公社一般賃貸住宅の再編整備計画に基づいて実施されておりますが、計画策定から既に十年以上が経過しております。この計画の見直しも含め、公社住宅の耐震化に積極的に取り組むべきであります。見解を求めます。
次に、多摩地区の給水拠点についてであります。
震災時に断水が発生した際には、応急給水を素早く行うことが重要でありますが、多摩地区の給水拠点の多くは、区部とは異なり、小規模で無人の浄水所等となっているため、住民が立ち入ることのできない状態となっております。
震災直後は水道局職員が給水拠点に速やかに参集できないことも想定されるため、都議会公明党は、給水拠点において、水道局職員を待たずに住民の方々が自分たちで応急給水できる体制づくりが必要であると従来から指摘してまいりました。こうした状況を受け、水道局では、水道施設の敷地の一部を応急給水の専用エリアとして区画することとし、私の地元である東村山市の八坂の給水所でも既に実施されております。
しかし、このような整備が必要な給水拠点は多摩地区に八十カ所以上もあり、このうち整備が完了しているものは、平成二十四年度末現在で二十八カ所にとどまっております。震災対策が急務となっている今、東村山浄水場を初め他の給水拠点においても早急に整備すべきと考えますが、見解を求めます。
また、こうした取り組みに加え、震災時に地域住民の方々が使いやすいよう、応急給水エリアに入るためのかぎの取り扱いなど詳細な部分まで関係者と取り決めておくべきであります。さらには、日ごろから、地元の市と町や住民の方々と、応急給水訓練を実施しておくことも重要となります。整備が完了した施設については、地元の市と町や自治会、町会との連携強化が重要であると考えますが、見解を求めます。
次に、超高齢社会に対応した、優しいまちづくりについて質問します。
都議会公明党はこれまで、都営住宅などの建てかえに際しては、元戸数を維持しつつも、新たに創出された敷地の有効利用を図り、地域のまちづくりに役立てるべきと主張してまいりました。高齢者が急速に増加している今日では、高齢者向け福祉サービスの整備拡充を図ることが一層重要となってまいります。
さらに、高齢者が安心して生活する上では、福祉施設の整備に加えて、医療、介護、日常の買い物など、住まいの近くに生活利便施設がそろった優しいまちづくり、すなわちコンパクトシティーが必要であります。
そこで、今後の都営住宅の建てかえに当たっては、こうした医食住の機能を複合的に整備するなど、民間を活用した事業手法も使いながら創出用地の活用を進めるべきと考えます。見解を求めます。
次に、都市農業の振興について質問します。
過日、公明党都市農業振興プロジェクトチームは、都内で農業関係団体及び農業後継者の方々と意見交換をいたしました。席上、関係者からは、農地が都市における貴重な緑地空間として機能していることは農業者個人の努力によって保たれているのであり、この事実に目を向けて都市農業振興を推進してもらいたいとの強いご要望が寄せられました。
都市農地の保全を図るには、農地の緑地空間、食育推進の場、防災空間等の多面的機能に着目し、住民生活やまちづくりに生かしていくことが重要であり、都として支援策を講じていくべきであります。見解を求めます。
また、農業を産業として再構築していくことも重要であり、そのためには、新たな視点で経営力の強化や創意工夫に取り組む意欲的な農業者への支援も不可欠であります。必要な施設整備を促進するための支援策を強力に進めていくべきと考えますが、見解を求めます。
また、さきに触れた意見交換の中では、都市農地が激減している最大の理由は相続税の問題であるとの強い指摘がありましたが、まさにそのとおりであります。相続税負担の早急な見直しをするよう、引き続き国に対して強く働きかけるよう要望いたしておきます。
次に、大型クルーズ客船の誘致促進について質問します。
ことしのゴールデンウイークには、東京港として史上最大のクルーズ客船である「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」が入港しました。この船の大きさは十三万七千総トンと、映画でも有名な「タイタニック号」の約三倍あり、その全長は三百十一メートルと東京タワーの高さに匹敵します。
都議会公明党も、クルーズ客船に対する都民の関心の高まりを受け、この大型客船の視察を行いました。この船は、海面からの高さが六十三メートルもあり、レインボーブリッジを通過することができないため、東京港の本来の客船ふ頭である晴海ふ頭には着岸できず、大井水産物ふ頭を改良して受け入れることになったと聞いております。
しかし、大井水産物ふ頭は、あくまでも貨物ふ頭であるため、海外の大型クルーズ客船を受け入れる施設としては甚だ不適切といわざるを得ません。また、貨物ふ頭として使用しない休日しか大型クルーズ客船が着岸できない状況にもあります。
海外の大型クルーズ客船には、日本のどの港よりも東京港に入港したいというニーズがあると聞いておりますが、肝心の東京港の現況では、将来の大きなチャンスをみすみす逃すことにもなりかねません。新鋭の大型客船がレインボーブリッジをくぐれないことを踏まえ、速やかに具体的な検討をすべきであります。
大型クルーズ客船の誘致を今後もさらに積極的に進めるとともに、その受け入れ体制の充実を進めていくべきと考えますが、あわせて見解を求めます。
さて、本定例会は、第十八期都議会の最終定例会となりますので、一言申し上げます。
この四年間の都政及び都議会は、いまだかつてない激動の四年間となりました。都議選直後に国では政権交代となり、国政は三年余にわたり迷走を続け、マニフェストは、もはや公約破綻の代名詞となるまで朽ち果ててしまいました。加えて、千年に一度といわれる東日本大震災が発生し、民主党は、政権担当能力の欠落に加え、危機管理能力の未熟さをも露呈する始末でありました。
一方、都政にあっては、史上初めてとなる任期途中での都知事の辞職、都議会史上初めての議長不信任決議の可決など、国政の混迷は、都政をも大きく揺さぶる結果となりました。昨年十二月には再び政権交代があり、同時に猪瀬都知事が誕生しました。
都議会公明党は、国政に影響を受ける都政ではなく、国政をもリードする東京を再建するために、今後とも政策でリード、東京から政策実現を進めるべく、全力で取り組んでいくことを改めて都民の皆様にお誓いを申し上げまして、私の代表質問を終わります。(拍手)
〔知事猪瀬直樹君登壇〕
〇知事(猪瀬直樹君) 谷村孝彦議員の代表質問にお答えします。
認証保育所についてでありますが、東京都独自の認証保育所は、待機児童の九割以上を占める三歳未満の低年齢児を中心に受け入れ、育児休業明けなど、年度途中の保育ニーズにも柔軟に対応してきました。平成十三年の制度創設以来、多くの都民の支持を得て、今や六百九十五カ所、定員は二万三千人を超えています。
しかし、厚生労働省は、こうした認証保育所の実績をかたくなに認めず、財政措置を講じようとしない。
全国一律の認可保育所制度だけでは、全国一律の認可保育所制度だけでは、大都市の待機児童問題は解決しません。認証保育所、東京スマート保育、保育ママなど、多様な保育サービスの整備が必要であります。
国はこの四月に、平成二十五年、六年度の二年間で、全国で約二十万人の保育サービスを集中的に整備する待機児童解消加速化プランを策定し、平成二十七年度から始まる新たな制度についても、議論を開始しています。
この機会をとらえ、東京都は、保護者、事業者の声にこたえるためにも、認証保育所を国の制度に位置づけるよう、国に対し、一層強く求めてまいります。
なお、その他の質問については、警視総監、教育長及び関係局長から答弁いたします。
〔警視総監西村泰彦君登壇〕
〇警視総監(西村泰彦君) 渋谷及び六本木地区における盛り場総合対策の取り組み状況等についてお答えいたします。
警視庁では、だれもが安全で安心して楽しめる盛り場環境を実現するため、渋谷及び六本木地区において、関係機関や防犯ボランティアと連携したパトロール、機動隊による警戒活動、本部捜査員を投入した違法風俗店の一斉摘発、関係警察署との共同捜査、風俗営業所に対する立ち入りなどを集中的かつ波状的に推進しているところであります。
その結果、犯罪の発生状況につきましては、昨年の刑法犯認知件数が、渋谷地区において約三千七百件、六本木地区が約千六百件と、いずれも五年前の平成十九年と比較して大幅に減少するなど、一定の成果が認められたところです。
しかしながら、特に深夜帯を中心に酔客の絡んだ暴行、恐喝、傷害や器物損壊事案等の犯罪は依然として多発しており、悪質な客引きや違法風俗店の存在も大きな問題となっているほか、最近では、渋谷地区におけるいわゆる脱法ハーブ販売店の乱立、六本木地区におけるアフリカ系外国人による悪質な客引き行為等、体感治安を悪化させる新たな要因も見られるところであります。
警視庁といたしましては、こうした現状を踏まえ、渋谷及び六本木両地区における諸対策を引き続き強力に推進するとともに、昨今、違法行為が潜在化、巧妙化している現状や盛り場環境の悪化を招くような新たな事象を注視し、脱法ハーブの販売店舗に対する東京都との合同立ち入りや各種法令を適用した検挙活動の実施など、関係機関、団体等と協働しながら、盛り場環境の浄化に向けた取り組みを推進してまいりたいと考えております。
〔教育長比留間英人君登壇〕
〇教育長(比留間英人君) 二点のご質問にお答えをいたします。
まず、中途退学未然防止等進路支援事業についてであります。
都立高校生が、みずからの進路を見出し、社会人として自立していくには、専門的かつ幅広い知識や経験に基づいて支援を行うことが効果的であります。
そこで、都教育委員会は、都立高校と若者の自立支援に実績のあるNPO等とが連携するモデル事業を今年度から開始いたします。
在校生には、キャリア教育の一環として、NPO関係者を交えた進路ガイダンスや、退学のおそれのある生徒への個別相談などを実施していきます。また、中途退学者や進路未決定卒業者には、こうした取り組みを通じて得た情報や信頼関係を生かして、切れ目のない支援を行ってまいります。
今後、その成果等を検証しながら、次年度以降の取り組み内容の充実に努めてまいります。
次に、公立小中学校の非構造部材の耐震化についてであります。
児童生徒の安全確保はもとより、災害時には避難所としての役割も担うことから、非構造部材の耐震化は極めて重要であります。
現在、区市町村教育委員会は、国のガイドブックを活用した非構造部材の耐震点検と耐震対策に着手しており、都教育委員会は、その対策費用のうち区市町村負担分を全額補助するほか、国の登録を受けた専門技術者を活用するなど、財政面、技術面から支援を行っております。
今後、国はガイドブックをもとに具体的な対象及び指標を作成することとしており、これを受けて速やかに区市町村教育委員会が全体計画を策定し、耐震対策を進められるよう引き続き支援をしてまいります。
〔交通局長中村靖君登壇〕
〇交通局長(中村靖君) 都営バスの二十四時間運行についてでございますが、都心部における深夜時間帯の交通利便性の向上を図ることは、国際都市東京の魅力や都市力を高めるなど、東京の発展に貢献するものであると認識しております。
このため、都営バスにおいて、試験的な取り組みとして、観光客、ビジネスマンなどの利用が見込まれ、ターミナル駅に接続する渋谷─六本木間について、本年中に二十四時間運行を開始することといたしました。
お話のとおり、都営バス事業は経常赤字でありますが、これまで経営の効率化に努め、着実に改善しております。
公営企業は、事業の採算性を十分に考慮する必要がございますが、今回予定しているバスの運行は、バス事業の経営に大きな影響を与えるものではないと考えております。
今後、国や警視庁など関係機関とも十分調整を図りながら準備を進めてまいります。
〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕
〇福祉保健局長(川澄俊文君) 保育サービス利用者に対する支援についてでございますが、保育の実施主体である区市町村が、保護者の保育ニーズに合わせて、適切な保育サービスにつなぐ取り組みは、待機児童対策という観点からも極めて有効でございます。
こうした取り組みは、今年度から安心こども基金の補助対象となりましたが、現在の国の要領では、実施場所が子育てひろばに限定されております。そのため、都は保護者の利便性を高める観点から、区市町村の柔軟な取り組みを認めるよう国に対して求めているところでございます。
また、都は今後、多くの区市町村で取り組みが進むよう、先進的な事例を紹介するほか、区市町村が相互に連携し、行政区域を超えた対応もできるよう、人材育成や情報共有などを積極的に支援してまいります。
〔産業労働局長中西充君登壇〕
〇産業労働局長(中西充君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、高齢期の働き方の選択についてでございます。
高齢者が、長年培った知識や経験を生かし働き続けるため、定年前の早い段階から職業生活の設計を行い、みずからに適した働き方を選択することが重要でございます。
都はこれまで、東京しごとセンターにおいて、キャリアカウンセリングなどのきめ細かな就職支援のほか、起業やNPOでの就業など、多様な働き方についての相談やセミナーを行ってまいりました。
これに加えて、今年度から、しごとセンターで中高年者が高齢期の働き方を適切に選択できるよう、自分のキャリアをより正確に理解する方法やライフプランの立て方などに関するセミナーと個別相談を実施いたします。
こうした取り組みを通じまして、みずからの希望や能力に応じた高齢期の働き方の実現に向け支援してまいります。
次に、都市農地の保全を図る都の取り組みについてでございます。
都市農地は、農業の生産基盤としてだけでなく、環境保全や防災など、さまざまな機能を有しております。このため、都は、農業・農地を活かしたまちづくり事業を実施し、農地の多面的機能を生かす取り組みを行う区市に対して、ソフト、ハードの両面から支援を行っております。
具体的には、各区市の取り組みに対し専門的な助言を行うとともに、農道等を活用した散策路や防災兼用農業用井戸等の整備に補助を行っております。
さらに、今年度からは、これまで区や市を単位といたしまして、その全域を事業対象としていたものを、地域の実情を踏まえ、より小規模なエリアでも実施できる仕組みといたしました。
今後とも、都市と農業の共存に向けた取り組みを進め、貴重な都市農地の保全に努めてまいります。
最後に、農業者の施設整備に対する支援についてでございます。
都は、平成十年度から、経営改善に取り組む意欲的な農業者等を対象といたしまして、さまざまな施策を実施しており、現在は都市農業経営パワーアップ事業により、経営力強化を図るための施設整備を支援しております。
これらの事業によりまして、これまでに農業用パイプハウス約一千五百棟のほか、共同直売所や農産物加工施設等が整備されており、生産や販売が拡大するなど、農業者の経営改善に大きく貢献してまいりました。
今年度も、農業用パイプハウスに加え、酪農用飼料の生産機械などの整備について補助する予定でございます。
今後とも、意欲的な農業者の取り組みを支援し、都市農業の振興に努めてまいります。
〔総務局長笠井謙一君登壇〕
〇総務局長(笠井謙一君) 発災時の損害賠償責任が事業者に及ばない制度の創設についてでありますが、一時滞在施設の管理者には、多数の帰宅困難者を安全に受け入れる責務が生じることから、事前の対策や災害時の対応に関して、責任の範囲をあらかじめ明確にしておくことが必要でございます。
都は国に対し、免責基準となる制度の創設を要望しておりますが、実効ある制度とするためには、現場の対応を行う事業者や法制度に通じた有識者の意見を十分に踏まえることが不可欠でございます。
このため、国や自治体、経済団体などから成る帰宅困難者等連絡調整会議において、有識者も加えた一時滞在施設の管理責任に関するワーキンググループを新たに設置いたします。この場を活用し、実態に即した議論を深め、国が行う制度構築の取り組みを強力に後押ししてまいります。
〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕
〇都市整備局長(飯尾豊君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、液状化対策についてでございますが、国が打ち出した方針は、土地区画整理事業などにおいて、宅地と一体的に行われる道路等の公共施設の液状化対策に対して国費助成を行うとしたものでございます。
現在、その具体的な支援策について、国が制度要綱を検討中であり、近日中に明らかになると聞いております。
こうした国による支援策の整備を受け、区からの提案があれば、都としても、区画整理などのまちづくりに合わせた液状化対策について、区と連携して勉強を始めていきたいと考えております。
次に、公社住宅の耐震化についてでございますが、公社は都の住宅政策の一翼を担う重要なパートナーであり、公社住宅の耐震化は、居住者の安心・安全を図る上で喫緊の課題であると認識しております。
このため、公社では耐震化整備プログラムに基づき、建てかえ対象以外の住宅について、計画的に耐震改修に取り組んでおり、昨年度末時点で耐震化率は八九%と着実に進んでおります。
また、公社住宅の建てかえについては、ご指摘のとおり計画策定から十年以上が経過していることから、少子高齢社会など社会経済情勢の変化に的確に対応していくため、現在、再編整備計画の見直しを進めており、年内を目途に改定することとしております。
都としては、平成三十二年度の耐震化率一〇〇%の達成に向け、こうした公社の取り組みを引き続き支援してまいります。
最後に、都営住宅における創出用地の活用についてでございますが、都営住宅においては、老朽化した住宅の建てかえを推進するとともに、敷地の有効利用を図って用地を創出し、地域のまちづくりに活用することが重要でございます。
これまでも、創出用地を活用し、地域に求められる福祉施設などの整備に取り組んできており、高齢化が急速に進行する中にあって、身近な地域で医食住の機能の充実が一層求められていると認識しております。
今後も、都営住宅の建てかえに当たり、住みやすい住宅を整備するとともに、創出用地において、民間の活力も生かして、高齢者が暮らしやすいサービスや店舗などの機能の導入を促進し、生活環境の向上に取り組むなど、地域の特性やニーズを踏まえたまちづくりに寄与してまいります。
〔水道局長増子敦君登壇〕
〇水道局長(増子敦君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、多摩地区における震災時の給水拠点についてであります。
多摩地区では、給水拠点の多くが無人の浄水所等の水道施設であり、震災時には水道局職員が参集し、かぎをあけて応急給水することになっております。
そこで、震災時に、職員の参集を待たずに、地域住民みずからが円滑に応急給水に取り組めるようにするため、施設用地の一角に、新たにフェンスで区画した応急給水エリアを設定するとともに、常設の応急給水栓を設置するなどの整備を順次行っております。
今後、整備が必要な施設は五十四カ所でありますが、首都直下地震等の切迫性が指摘されている中、更新工事等にあわせて実施するもの以外の四十七カ所すべてを本年度中に整備してまいります。
次に、給水拠点の整備後における地元市町との連携強化についてでありますが、応急給水を円滑に実施していくためには、給水拠点の整備に加え、当局と市や町との間で、応急給水エリアに入るためのかぎの取り扱いや応急給水訓練等につきまして、あらかじめ取り決めておくことが必要であります。
このため、給水拠点の整備後に、順次、市や町とこれらを定めた覚書を締結し、これに基づき、当局、市や町、自治会等と十分連携して訓練を実施してまいります。
このように地域との連携を強化していくことで、住民みずからによる応急給水の実効性を高め、災害対応力の強化を図ってまいります。
〔港湾局長多羅尾光睦君登壇〕
〇港湾局長(多羅尾光睦君) クルーズ客船の誘致促進についてですが、今回の「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」の入港については、テレビや新聞で多数報道されましたが、乗客の皆様や運航する船会社から高い評価をいただき、来年以降の寄港についても打診を受けるなど、東京港に対する期待を改めて感じたところです。
そこで、当面は、貨物ふ頭である大井水産物ふ頭を活用して誘致を進めてまいりますが、大型客船の受け入れ体制としては、日よけ、雨よけ対策を初めとして、まだまだ課題があると認識しております。
今後は、ご指摘の趣旨をも踏まえ、出入国手続の迅速化や乗客の快適性をさらに追求し、施設面での整備改善を図っていくとともに、「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」を初めとする大型客船受け入れの実績を積み重ね、ノウハウの蓄積やサービス改良を継続し、クルーズ客船の誘致に一層努めてまいります。