公営住宅管理制度見直しで国交相に申し入れ

20071117_2228【平成19年11月17日付 公明新聞記事より】

公明党国土交通部会(高木陽介部会長=衆院議員)と都議会公明党(中島義雄幹事長)は16日、国土交通省を訪れ、冬柴鉄三国交相に「公営住宅管理制度の見直し」に関する申し入れを行った。高木部会長のほか、山口那津男政調会長代理、加藤修一、沢雄二、鰐淵洋子各参院議員、石田祝稔、高木美智代両衆院議員と、藤井一都議会公明党政調会長、友利春久、吉倉正美、長橋桂一、谷村孝彦各都議が参加した。

公営住宅の入居収入基準は、1996年に月収20万円(収入分位<全所得者のうち下位何%までに当たっているか>25%)に設定されて以来11年間、見直されず現在、月収20万円は収入分位36%に相当している。公営住宅の応募倍率は東京都で32・1倍、大阪府で15・7倍に達するまでになっている。全国平均では9・9倍。このような現状から国交省は昨年秋、公営住宅の入居収入基準と家賃制度の見直しについて同省案を作成し、パブリックコメントを募集していた。

公明党は、見直しの前に、住宅の確保に配慮が必要な“住宅弱者”が困らないためのセーフティネット(安全網)を整備するべきであり、それがないままの見直し実施には慎重であるべきとの立場から、まず今年6月に議員立法で住宅セーフティネット法を成立させた。

その上で、全国各地で公的住宅居住者の意見を聞くとともに、同法の精神にのっとり住宅弱者への負担増を抑制する方向で国交省案をさらに見直すべきとの観点から今回、国交部会が、公的住宅居住者と居住希望者の多い東京都民の意向を帯した都議会公明党と連携し、申し入れとなった。

申し入れの主な内容は、(1)住宅セーフティネット構築に向けた施策のさらなる充実(2)年金生活者や低収入世帯の家賃上昇抑止(3)家賃上昇の激変緩和措置期間の延長(4)家賃上昇抑制のための地域住宅交付金の弾力的活用(5)収入超過者の猶予措置の延長(6)公営住宅の居住環境改善のための施設整備の促進(7)少子高齢化の進展に対応した公的住宅の供給の推進――などとなっている。

席上、高木部会長は、「年金生活者や低所得者に家賃負担が増えないようにしてほしい」と訴えた。藤井都議は「今後入居する人を対象にした見直しを行うとともに、家賃上昇につながる市町村立地系数や規模系数の見直しを凍結してほしい」と要望し、谷村都議は「東京は全国の人たちを受け入れてきた土地柄であり、東京の公営住宅制度を守るため配慮を」と訴えた。

冬柴国交相は「ご趣旨は分かった。特に住宅セーフティネットには省を挙げて取り組んでいる。予算確保に協力してほしい」と答えた。