「体験農園」が好評を博し都市農業に明るい展望・・・都市農地保全へ公明が推進します 東大和市

都市農業の新たな経営展開へ
農地の減少が課題となっている東京都では、農業者が住民にキメ細かな技術指導を行いながら農作物を生産する「農業体験農園」が注目を集めています。都市農業の安定経営に道を開く一方、都会に住む人々が地域で本格的な農業を体験できるため、農業者と住民の双方に大きなメリットがあります。5月27日に、農業体験農園に参加されている方のご紹介で、東大和市議会公明党(中間建二幹事長)の皆さん全員とご一緒に、東大和市内に昨年7月オープンした農業体験農園「やすじぃの農園」を視察しました。
市民・・・プロ指導の野菜作り満喫 農家・・・税制優遇などで経営が安定
都市開発の波がじわりと押し寄せる東京郊外の東大和市。その住宅地の一角に、まるでオアシスのように広がる畑が、農業体験農園「やすじぃの農園」です。「ここの野菜はお店のものと比べて香りが全然違う。もちろん、格別においしい」。農園でダイコンやトマト、トウモロコシなどを育てている石丸五十鈴さん(63)は、満面の笑顔で語っておられました。
「青空の下で流す汗はとっても心地よい」と、日焼けした顔の汗をぬぐっておられたのは青木孝司さん(67)。青木さんは定年後の生きがいを模索していた折、「やすじぃの農園」に巡り会ったそうです。農業の“プロ”から直々に指導を受けながら、丹精込めて育てた野菜は家族から大好評。「妻からは『畑仕事をやり始めたら生き生きしてきたね』なんて言われます」と照れ笑いしておられました。
昨年7月にオープンした「やすじぃの農園」は、農園主の内野孝さん(46)が所有する約2000平方メートルの生産緑地を56区画に分割して入園者に提供。種や苗の植え付けから収穫までの技術指導を行いながら、野菜作りに取り組んでおられます。
種や苗、肥料、農機具などに必要な経費は、入園者が支払う1区画当たり年間3万2000円の入園料から補うほか、市が創設した「農業体験農園整備等事業費補助金」を活用。昨年度はトイレやビニールハウスなどの施設整備費、今年度は1区画当たり1万円の運営経費が助成を受けています。
入園者は2週間に1回のペースで内野さんの講習を受けながら、1区画当たり30平方メートルの畑で年間30種類の野菜の収穫に挑戦。“収穫祭”と銘打った参加者同士の交流会も活発に展開しており、内野さんは「皆さんの笑顔が楽しみ。これからも長く続け、野菜の種や苗が実になる感動を伝えていきたい」と意欲を燃やしておられました。
「やすじぃの農園」のような「農業体験農園」は、市民に土地を貸し付けるだけの「市民農園」とは違い、農園主が入園者に必要な技術を伝授することを通じ、プロ並みの野菜を収穫できるのが大きな特徴。東京都内では現在、東大和市のほか、東村山市や練馬区などに合計約40カ所の「農業体験農園」があり、都会に住む人たちが本格的な畑仕事で汗を流し、収穫の喜びを味わっておられます。
一方、農園主の方々にとっても大きいメリットがあります。1区画当たり年間3万円程度の入園料などで安定収入が見込めるほか、税制上でも「相続税納税猶予制度」の適用を受けることができます。都市農家は後継者不足などを背景に、相続を契機として農地を処分する強い傾向がありますが、相続税の納税を猶予される「農業体験農園」は、減少傾向に歯止めがかからぬ都市部の農地を残す観点からも注目されています。
公明党東京都本部は昨年6月、官邸で安倍晋三官房長官(現首相)に行った都市農業政策の確立を求める申し入れの中で、農業体験農園の全国展開を要請。東大和市においては、市議会公明党が議会質問などを通じ、農業体験農園の普及を積極的に推進してきました。
開園約1年で順調な滑り出しの「やすじぃの農園」を視察して、農業体験農園は新たな担い手を育成することも期待でき、都市農業政策の柱の一つとして普及に全力を挙げていきたいと決意を新たにしました。