平成16年第2回定例会 一般質問

20070715_0005○副議長(中山秀雄君) 一番谷村孝彦君。
〔一番谷村孝彦君登壇〕
○一番(谷村孝彦君) 初めに、観光振興について伺います。
知事は、昨年の第一回定例会施政方針の中で、東京の夜景を観光振興策の一環として位置づけられました。皇居のライトアップについても提案され、みずから先頭に立って行動されておりますことは高く評価いたします。また、その実現を強く期待するものであります。
さて、過日のゴールデンウイークに、夜景評論家として有名な丸々もとお氏のプロデュースによる、東京夜景ルーム・エキシビション二〇〇四が、ホテルニューオータニのタワー棟三十階のワンフロアを貸し切って開催されました。私も招かれて参加いたしましたが、都心からの眺めを三方向のコンセプトに分類し、日比谷、銀座方面をアーバンサイド、新宿、渋谷方面を摩天楼サイド、赤坂、六本木方面を東京タワーサイドとして、ホテルの各部屋の窓がそのまま夜景を映すスクリーンと化し、訪れた人を十分に堪能させておりました。
夜景を学問ととらえた夜景学においては、日没の赤みを帯びた空がたそがれに移る最後の十分の間に、ブルーモメントという瞬間があるといいます。それは、バックステージ、つまり、空全体が暗やみへと移行するにつれ、まちの営みがそれこそ、たそがれの空をバックステージとして、実にさまざまな光彩を放ち、空と地上が見事なコントラストを描いて人々を魅了するとしています。そして、このブルーモメントがとりわけ美しいといわれているのが新宿高層ビル群なのであります。
しかし、残念なことに、さきのイベントの際の都庁の姿は、ゴールデンウイークということもあって、窓明かり一つなく、ブルーモメントに光彩を放つことがないまま、やがて高層ビル群の中で寂しく暗やみに消えてしまいました。
ことし三月に都が出した観光まちづくり基本指針では、まちが持つ観光資源を分析し、課題を発見すると指摘しております。
平成十一年以来、都庁のライトアップは財政的理由で中止されていますが、夜景の価値を認めず、観光を産業と位置づけていないころの判断としては仕方のなかったことかもしれません。しかし、私は、都庁のライトアップを再開すべきと考えます。
先週、新宿のあるホテルの総支配人の方と懇談をしました。外国人観光客はまだまだ少ないとのことであります。宿泊税などを活用して、都庁のライトアップが再開されれば、大変にありがたいとのことでありました。
都は、外国人観光客六百万人の誘致を目指しているわけでありますから、費用が問題というのであれば、毎日ではなく、長時間ではなくても、例えば、ゴールデンウイークや年末年始の観光シーズンに限って、都庁舎の最高層部分だけでもライトアップを再開してはどうでしょうか。
観光とは「光を観る」と書きます。まさにライトアップであります。ライトアップで都庁から観光振興の明かりをともし、皇居のライトアップ実現へのステップとしてはいかがでしょうか。知事の見解を伺います。
さらに、過日開催された東京港開港記念式典でも、前述の丸々氏が招かれて講演し、東京港の夜景のすばらしさを改めて強調されました。丸々氏は、東京夜景百景の選定を提唱しておられますが、東京港についても広く都民に親しんでもらうため、その夜景を都民にもっとPRすべきであります。
具体的には、東京港夜景十景を選定し、ホームページなどで公表すれば大きな関心を呼ぶと思いますが、見解を伺います。
また、昨年度、都は、臨海地区観光まちづくり基本構想の提言を受け、今年度は具体的な取り組みを進める段階にあると聞いております。
臨海副都心の中でも、お台場からの夜景は大変に魅力的であり、まず手始めに、お台場からの夜景を新しい観光資源として活用すべきであります。あわせて見解を伺います。
次に、商店街における人材育成について伺います。
今、商店街では、商店主の高齢化や後継者不足が極めて深刻な問題となっており、都の調査においても、従業員四人以下の都内小売業者の四割近くは、自分の代で廃業したいと答えております。この問題をこのまま放置すれば、空き店舗が増加して、地域経済に深刻な影響を与えるばかりでなく、コミュニティの崩壊にも拍車をかけることになります。
商店街を担う若手人材の育成は急務であり、都は、昨年度から、進め若手商人育成事業を実施し、若手商人の中から次代を担う人材を着実に育てるという取り組みを進めてまいりました。
我が党は、さきの第一回定例会において、こうした事業に加え、広く若者の中から、商売のおもしろさを知り、商人を志す人を輩出する仕組みとして、高校生などを対象とした商人インターンシップ事業の実施を提案したところ、実施に向けて検討するとの答弁を得たところであります。
将来の商店街や商店を支える人材づくりを目指す、商人インターンシップ事業のその後の進捗状況について伺います。
次に、東京港の保安対策について伺います。
昨年の第三回定例会において、我が党は、官民一体で行う合同保安訓練の実施を具体的に提案いたしました。これを受けて、先月、東京港の晴海ふ頭において、首都圏の治安を脅かす密輸、密入国等の組織犯罪を水際で阻止するための合同保安訓練が、港湾局ほか警視庁など五百名が参加して実施されたことは、高く評価するものであります。
先月末には、アルカイダのメンバーの疑いのある外国人が日本国内で逮捕され、国民に強い衝撃を与えました。現在、国会では有事関連七法案の審議が行われておりますが、厳しい国際情勢を反映して、テロ対策は喫緊の課題となっており、我が国の生命線でもある港湾を何としてもテロから守らなければなりません。
そこで、今後とも、このような合同保安訓練を繰り返し実施するとともに、速やかに国際テロをも想定に加え実施すべきであります。所見を伺います。
あわせて、これまで本会議でさまざまな議論を重ねてまいりましたが、船舶と港湾施設の保安対策強化を目的とした改正SOLAS条約がいよいよ来月一日に発効し、待ったなしの状況となりました。この改正SOLAS条約に東京港は確実に対応できるのかどうか、進捗状況を改めて伺います。
次に、都が発注する公共工事に関連して伺います。
第一点目に、公共工事を受注した企業は、多くの場合、建設業法に基づき、工事の一部を下請企業に発注しております。そのため、都として、良質な工事の履行を確保するためには、施工管理の上で、元請と下請を良好な関係に保つ必要があります。しかし、都の発注工事の中には元請企業に問題があり、下請代金をめぐるトラブルの発生など、弱い立場にある下請企業がしわ寄せを受けているケースがあります。
私は、これまで、こうした相談を幾度か受けてきました。ところが、工事発注元の財務局には、元請と下請間のトラブルについて相談窓口がありません。都市整備局の建設業課がこうした苦情を受け付け、指導していますが、現状の仕組みでは、必ずしも発注元の財務局と情報の共有がなされていないことなどから、結果的に、公共工事に関する苦情や問題点の指摘が、次回の公共工事の発注の際に生かされていないケースが出てきます。
不良不適格な元請企業を排除していくためにも、財務局と都市整備局を初め、都全体で情報の共有が可能となる新たな仕組みづくりが必要であります。所見を伺います。
二点目に、中小企業を取り巻く環境は、改めて申し上げるまでもなく、依然として厳しい状況にあり、公共事業の受注機会を提供する自治体は、中小企業支援に果たす役割が極めて大きいといえます。
とりわけ、都が発注する契約案件は年間二十数万件、一兆七千億円規模に上り、不況にあえぐ中小企業の経営において大きな比重を占めております。金融機関の貸し渋りなどもあり、経営資金の確保ややりくりに経営者が絶えず頭を痛めているのが中小企業の実情であります。
そのため、都から受注した契約代金については、運転資金として回すため、契約履行後、速やかな支払いを必要としている企業が多いわけであります。しかし、最近、ある企業から、契約上の支払いが来ても、都から百四十五万円の受注代金が支払われず、問い合わせをしてみると、事務手続が重なっているので、さらに三週間はかかると平然と説明をされた、都がこんなことでいいのでしょうかという相談が私のところに寄せられました。この企業は、昨年度だけでも、三つの局の仕事で五回も受注代金が契約期日に支払われなかったといい、実名を出しても構わないので、都の姿勢を正してほしいと訴えていました。
いいかえれば、都が支払い期日を守っていない実態を指摘すれば、次から仕事を受注できなくなるので、これまでは声を上げられなかったというのであります。たとえ、こうした事例が全体のわずか数%であったとしても、年間で二十数万件を発注している都全体では、相当な数に上る可能性があります。
中小企業が百万円、二百万円の資金繰りに奔走している中、都のこうした実態が看過されるならば、都のすべての中小企業対策が色あせてしまいます。早急に実態を調査し、改善策を講じるべきであります。
見解を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
○知事(石原慎太郎君) 谷村孝彦議員の一般質問にお答えいたします。
都庁のライトアップについてでありますけれども、私、都庁が前にやったと知りませんでしたんですが、設備はまだ残っているんでしょうか。──それで、費用を聞きましたら、大体一晩四時間ぐらいともして、つけて、一万二千円だそうですよ。東京タワーが、点灯時間、日暮れごろから午前零時までで二万四、五千円。一万二千円ぐらいなら、費用対効果からいったってなかなか目立つと思うんですよ、このバブルの塔を照らすと。ただ、東京タワーと違って、高いところに一つ建っているんじゃなしに、周りに高層ビルがありますから、どれだけ見ばえがするか心配な気がいたしますが、施設が残っているならやってみるのも一つの案だと私は思いますな。
いずれにしろ、夜中にこれ、ただ置いておくだけじゃなしに、いろいろ使ってみようということで、昨年十月、北展望室にもカフェバーをオープンしましたし、一方、この都庁舎は多量のエネルギーを消費する大規模な施設ですから、地球温暖化防止などを環境対策の視点から、省エネルギーに率先して取り組むことをやっておりますので、その一方で、一晩一万二、三千円かけて照らすのかというクレームもつくかもしれませんが、しかし、費用対効果の問題で、これで新宿に人が集まれば、夏でも光をともすと虫が集まってきますから(笑声)観光客の新宿への吸引力になればいいんじゃないかと思いまして、観光振興と環境対策との双方の調和をどうとるか、いろいろ試行錯誤あるでしょうけれども、やってみましょう、一回。
他の質問については、関係局長から答弁いたします。
〔港湾局長成田浩君登壇〕
○港湾局長(成田浩君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、東京港の夜景についてでございますが、光と闇が織りなす夜景には、人々の心に安らぎを与え、時空を超えた世界へといざなう魅力がございます。
東京港の夜景には、レインボーブリッジや臨海副都心コンテナふ頭、さらには海を挟んだ都心のビル群など、個性豊かなさまざまなスポットがございまして、多くの都民や内外の観光客にも楽しんでいただきたいと考えております。
今後は、このような夜景を港湾局ホームページや臨海地域の情報誌などを通じて積極的に都民に紹介していくとともに、ご提案の東京港夜景十景につきましても、さらに新たな魅力を引き出す創意工夫をしながら検討を進めてまいります。
次に、お台場からの夜景についてでございますが、お台場からの景観、特に夕景から夜景は、大きな広がりを持つ海や空という自然と大都市東京の景観が幻想的に溶け合った、他では見られない景色でございまして、東京の名所の一つになり得るものと確信しております。
このため、こうした夕景や夜景をさらに多くの方々に楽しんでいただくよう、進出企業等の協力も得まして、おだいばビーチを灯籠で彩るような新しいイベントを展開していきたいと考えております。
今後、夜景も大切な観光資源の一つとしてとらえ、お台場以外でも夜景の楽しめるまちづくりを進めてまいります。
次に、合同保安訓練の実施についてでございますが、水際の危機管理におきまして、官民一体となった訓練を繰り返して実施することが極めて重要であることは、ご指摘のとおりでございます。
先月、晴海ふ頭で、不審船の接岸や不法入国者の潜入を想定した訓練を実施したところでございますが、引き続き東京港におきまして、国際テロを具体的に想定し、海上保安部を初めとする関係機関と連携して、洋上の船舶や着岸した旅客船でのテロリスト捕捉訓練を近く実施いたします。
こうした国際テロを阻止するための合同訓練を通じて、関係機関の連携強化と現場対処能力の向上を図り、東京港における水際の危機管理対策に万全を期してまいります。
最後に、改正SOLAS条約への対応についてでありますが、緊急に整備が必要なフェンスやゲートにつきましては、今月末の完成に向けて、現在精力的に工事を実施しております。
また、運営面におきましては、保安対策専任スタッフの配置に加え、改正SOLAS条約が発効する七月一日からは、巡回や警備をさらに強化いたしまして、東京港の主要な国際ふ頭で二十四時間監視体制を構築いたします。
引き続き、監視カメラや照明設備等の整備につきましても、本年度内の完了を目途に鋭意取り組んでまいります。
東京港が今後とも日本を代表する国際貿易港として発展していくため、港湾の保安対策に全力を挙げ、世界に信頼される安全な港づくりを推進してまいります。
〔産業労働局長有手勉君登壇〕
○産業労働局長(有手勉君) 商人インターンシップ事業についてのお尋ねにお答えいたします。
現在、本事業の早期実施に向けまして、商店街や教育庁と、時期や内容などについて協議をしているところでございます。
この事業は、これまでの先駆的な商業高校の取り組みを、商店街振興の観点から発展的に展開するものでありまして、商業高校の生徒が商店経営や商店街活動に積極的に参加し、商店街も若者の新鮮な感覚を事業に生かすなど、高校生と商店街双方にとって有意義な体験となるよう工夫をしていきたいと考えております。
こうした体験を通じて、高校生が商売のおもしろさや魅力、商店街の役割などを実感することにより、将来の商店街を支える新たな担い手の創出につなげていきたいと思っております。
〔財務局長櫻井巖君登壇〕
○財務局長(櫻井巖君) 契約制度の運用に関する二点のご質問にお答えいたします。
まず、不良不適格企業排除の新たな仕組みづくりについてであります。
都が発注する公共工事の適正な履行を確保するためには、元請企業と下請企業の間で、建設業法で定める適正な関係が確保されることが重要であります。そのため、建設業法違反で行政処分を受けた企業に対しましては、これまでも、建設業法所管の都市整備局から情報の提供を受けまして、入札参加の指名停止措置を講じるなど、不良不適格企業の排除に努めてきております。
今後、都市整備局との連携、協力を強化しまして、企業情報の共有化、各局への情報提供など、不良不適格企業を排除できる新たな仕組みづくりに取り組んでまいります。
次に、契約代金の支払いについてであります。
都の標準契約書では、履行完了検査合格後、支払い請求を受けた日から起算しまして、工事請負で四十日以内、それ以外では三十日以内と期限を定めております。
都は、この規定にのっとりまして、速やかな支払い手続に努めているところでありますが、今後とも、期限の遵守を図るため、支払い状況を調査の上、契約代金支払いの手続が適切に行われるよう、各局の是正指導に努めてまいります。