平成23年第2回定例会 代表質問

20110630_2355〇六十二番(谷村孝彦君) 石原都政の四期目のスタートに当たり、都議会公明党を代表し、都政の喫緊の諸課題及び東日本大震災後の東京の都市力強化に向けた取り組みについて質問いたします。
初めに、東日本大震災の犠牲となられました方々に心から哀悼の意を表するものであります。
震災後、都議会公明党は被災各県に調査団を派遣してまいりましたが、被災者の皆様に対する支援、被災地の復興支援のために今後とも全力で取り組んでまいりますことをかたくお誓い申し上げるものであります。
特に、都民生活を支えてくださっているのは福島県を初め、地方の発電所であり、地方の食料、地方の水、サプライチェーンなど地方の技術であります。
京都大学の中西寛教授の言葉をかりれば、今回の災害では、東京が復活して地方を救うのではなく、地方が復活して東京が救われるのであります。
未曾有の巨大地震、大津波、原子力発電所事故の中で日本人の忍耐強さや礼儀正しさ、必死に他人を助けようとする姿は海外から称賛されました。
また自衛隊や警察、消防の取り組みに対する被災者からの尊敬と感謝の声も大きく、加えて多くの若者が被災地で復旧事業やボランティア活動に取り組む姿も大いに評価されております。
しかし本来、国民の先頭に立つべき政府の大失態は目を覆うばかりであります。三カ月が経過した今なお、災害破損物の処理は遅々として進まず、政府、とりわけ菅首相の初動の振る舞いが原発事故の深刻さを招いたことは否めない事実であります。
フランスのルモンド紙には、くだらない政府のもとで国民はよく頑張っているなどと書かれ、政治の無策が招いた人災との批判は日増しに強まっております。
一昨年来、誤った政治主導なるものが国に蔓延しておりますが、今こそ真の政治主導の発揮が望まれております。
震災発生直後から強力なリーダーシップで迅速な被災地支援を進めてきた石原知事の所見を伺います。
大地震、原発事故という国難に見舞われた今日、多くの学者などが改めて注目しているのが英国の歴史家アーノルド・トインビー博士の挑戦と応戦の理論であります。
これは挑戦、すなわち自然環境の激変や戦争などの試練や困難に対して、いかに応戦するかで文明は成長もし、滅びもするという歴史の法則を示しております。
トインビー博士の唱える歴史の法則に従うならば、試練を乗り越えてこそ未来はあります。今回の大地震、大津波による甚大な被害、原発事故によるエネルギー不足に対して我々がいかに応戦するのか、その道筋を明快に指し示してリードしていくことこそが政治に求められております。
とりわけ東京は、自然を征服することで豊かさを求めてきた現代文明の象徴ともいうべき巨大都市であり、膨大なエネルギーをのみ込むことで成り立っております。
大震災を機に、逆境に立たされた東京が最初に文明転換の道を開き、まさにリード役となるべきであります。石原都知事の所見を伺います。
次に、被災地支援について質問いたします。
今回の大震災によって東北地方、とりわけ福島県は大地震、巨大津波に加えて、原発事故、風評被害という四重の被害となり、地域経済もかつてない大打撃をこうむっております。
都議会公明党は先月、福島の経済団体の代表と現地で意見交換をしました。
福島県は、風評被害により中通り、会津方面まで大きな影響を受けており、経済団体からは地域経済への波及効果や即効性のある支援をとの強い要望が寄せられました。特に、地域経済の活性化に即効性が期待できる観光の復興に熱い期待を寄せておられました。
観光客が大幅に落ち込み、秋以降はさらに減少すると心配されております。被災地の地域経済活性化のために、被災地を訪れる観光客へ助成するなど、インセンティブを与える施策を実施すべきと考えますが、答弁を求めます。
また、東京から多くの観光客が被災地に来てもらう取り組みとして、プレミアムつきの地域振興券を東京で発行し、被災地の宿泊施設や商業施設で使ってもらうというユニークなアイデアも出されました。地方財政法上も問題はないことを確認いたしております。今後、被災地で使える東京発行のプレミアムつき地域振興券についても検討を進めるよう強く要望いたしておきます。
次に、被災自治体への都の職員派遣について質問いたします。
都は震災発生直後より、警視庁、東京消防庁を初め、医療支援、技術支援、教職員派遣などの人員支援に全力で取り組んでまいりました。都からの幅広い分野にわたる職員派遣は、発災後の応急対策に懸命に取り組む被災自治体にとって、今やなくてはならない存在となっております。
そこでまず、発災から今日までの都の職員派遣の実績と成果を明らかにしていただきたいと思います。
震災から三カ月が経過し、今後は応急対策から本格的な復興に取り組んでいかなければなりません。それに伴い、職員派遣も短期、応急的な派遣から被災した自治体の行政機能の回復に向けた長期の復興支援が必要になってきます。
首都東京の持つ総合力を生かし、被災地の行政ニーズを的確、迅速につかむとともに、被災自治体からの支援要請を待つだけではなく、東京にできることを主体的に発信して被災自治体の行政機能再建を強力にバックアップしていくべきであります。今後の都の職員派遣のあり方について見解を求めます。
また、教育支援についてですが、都教育委員会は、国が被災県にいまだ有効な支援策を講じていない中、五月連休明けには宮城県の学校に六十八名の教員を年度末まで派遣することを発表しました。この実績を踏まえ、今後は子どもたちの傷ついた心のケアのために、養護教諭の派遣にさらに力を入れるべきであります。
現職養護教諭を派遣すると、その後の補充が困難であるならば、退職養護教諭で補充することにより、現職養護教諭を現地に派遣すべきと考えます。教育長の見解を求めます。
次に、被災者に対する文化、スポーツ支援についてであります。
医療や衣食住の支援だけでなく、被災された方々に対するメンタル面での支援も重要であります。とりわけ、文化、芸術、スポーツを通して次代を担う子どもたちに夢や希望を持たせる支援が重要であります。
まず文化交流についてでありますが、地元からの要請を受け、東京都交響楽団が郡山市でコンサートを開催し、招待された避難者は大変に喜んでおられました。また、東京に避難している子どもたちを劇団四季が「ユタと不思議な仲間たち」の興行に招待し、子どもたちが大変に感動していた様子が報道されておりました。
こうした実例を踏まえ、東京都交響楽団のアンサンブルによる連続公演の実施、都が公認しているヘブンアーチストの活用、都の文化事業に参加している劇団等の公演など、現地のニーズに応じ、さまざまな取り組みを積極的に行うべきであります。所見を求めます。
次に、スポーツによる支援についてであります。
被災地では、体育館や校庭が避難所などとして利用されているケースも多く、子どもたちが特に野球やサッカーのように広い場所が必要なスポーツをすることが難しい状況にあります。
一方、避難所になっていた東京武道館や味の素スタジアムでは、Jリーグ観戦やサッカー教室などに招待された子どもたちが、プロ選手の技術やスピードを目の当たりにし、目を輝かせて喜んでいたと伺いました。
被災地で不自由な生活を強いられている子どもたちをぜひとも東京に招待し、スポーツ観戦や交流試合等、スポーツに接する機会を提供すべきと考えます。見解を求めます。
次に、東日本大震災を受けての東京の防災力向上について質問いたします。
まず、人工衛星を活用した災害情報の把握についてであります。
今回の大震災では、被災状況の把握に時間がかかったために、初動の人命救助、救援、復旧がおくれてしまったと指摘されております。首都直下地震が発生した場合、東京都が持っているDISと呼ばれる災害情報システムを用いて、地域の詳細かつ正確な情報収集を行うと同時に、高解像度衛星による画像と地理情報システム、GISを併用すれば、都内全域における被災情報を瞬時に取得することが可能となります。
人工衛星の活用は、広域の観測を初め、夜間や悪天候でも観測できるというメリットがあります。さらに、浸水、冠水域や液状化エリアの特定、道路状況や地殻変動、海上漂流物分布の把握等の利用や、広範囲を繰り返し観測できることから、復旧、復興の進捗状況の把握まで可能となります。今後、JAXA、宇宙航空研究開発機構は、数年内に二機の災害観測衛星を打ち上げる予定であり、他国の人工衛星との協力関係の構築により、迅速な被災状況の収集が可能となります。
災害対策における人工衛星の活用を検討すべきと考えますが、所見を求めます。
次に、今後の課題として大変に重要な被災時の情報通信体制についてであります。
さきの大震災発生時には、首都圏においても固定電話や携帯電話、メール等が機能不全に陥り、行政間や交通事業者との情報交換、さらには家族間の安否確認などが不可能となり、対策のおくれや不安の増大で混乱に拍車を招く原因となりました。
都は、どんな状況下にあっても相互通信手段を失わないために、無線機によるバックアップ体制を多重的に確保し、都庁各局や出先機関、各区市町村や避難所、さらには主要駅などにも配備すべきであります。
また、都や区市町村と災害時に応援協定を交わしている協力団体等との通信体制も構築しておくべきであります。あわせて見解を求めます。
次に、家族間の安否確認についてでありますが、通信事業者による災害伝言サービスはほとんど利用することができませんでした。都は、国や通信事業者に対し、安否確認サービスの技術開発と機能の拡充を求めるべきであります。見解を求めます。
次いで、防災行政無線の整備についてであります。
甚大な被害を受けた宮城県南三陸町では、若い女性職員が高台へ避難するように防災行政無線で命をかけて繰り返し呼びかけたことにより、多くの住民の命が救われました。
一方、他の地域では、屋外スピーカーからの避難情報が聞こえなかったとの証言もあり、改めて防災行政無線のあり方が問われております。
都議会公明党が先日、被害状況を調査した茨城県大洗町では、津波から避難する高台がほとんどないにもかかわらず、人的被害は最小限にとどまりました。その要因の一つに、屋外スピーカーに加え、住民、全世帯に配備された防災行政無線の受信機で、同時に情報を得て迅速に避難することができたとのことでありました。
都内各地では、以前からこの防災行政無線の屋外スピーカーの音声が聞こえない、聞き取りづらいといった声が多く寄せられております。都として災害時に重要な役割を担う防災行政無線の実態を早急に調査した上で、課題を検証するとともに、住民への情報伝達について区市町村が実情に合わせて拡充することができるよう支援すべきであります。見解を求めます。
次に、帰宅困難者対策について質問いたします。
国の中央防災会議は、首都直下地震発生時の帰宅困難者を約三百九十万人と試算しており、都内各所で大規模な火災が発生し、避難者と帰宅困難者が交錯することによって、大量の圧死者が出るおそれがあるとしております。
東日本大震災が発生した三月十一日は、首都圏の交通機関が途絶し、幹線道路は徒歩で帰宅する人々であふれ、都内の帰宅困難者数は約三百万人に達しました。
企業や事業者が帰宅困難者を積極的に受け入れた事例も見られましたが、ターミナル駅に滞留した人々に駅構内から退去を求めた鉄道事業者が出るなど、関係者の意思が統一されず、日ごろの訓練や話し合いの成果を生かせなかったのが現実であります。
こうした事態を二度と繰り返さないためには、東京で大震災が発生した場合、まずは帰宅困難な都民に対し、職場や身近な大規模施設などにとどまるよう明確なメッセージを発信することが大切であります。
さらに、ターミナル駅に滞留する人々に対しては、統一した避難、誘導が実施される体制を構築するべきであります。都と区市との連携も不可欠であります。
今後、帰宅困難者対策、駅前滞留者対策を進めるためには、責任ある立場の人が強いリーダーシップを発揮することが重要であります。知事の所見を伺います。
また、今後の帰宅困難者対策においては、訓練の内容を実際の災害発生時に役立つものにしていく必要があります。特に夜間や悪天候下も視野に入れて取り組むべきであります。見解を求めます。
次に、人々が帰宅しなくても安心できる環境を整えるためには、災害時にあっても、都民に正確な情報が速やかに伝わることが大切であります。災害情報を伝える手段として、テレビ、ラジオのほか、駅や街頭の大型画面、コンビニなどにある液晶モニターの活用やインターネットなど、さまざまな媒体があります。しかし、こうした媒体は、大規模停電時には全く機能しなくなるおそれがあります。
そこで、帰宅困難者の避難誘導に係る重要な情報を発する拠点施設においては、停電時も含めた対策を検討すべきであります。見解を求めます。
さらに、帰宅困難者の受け入れについては、これまでの受け入れ施設に加え、映画館、ホテル、劇場、駅ビル、オフィスビルなどを対象に受け入れ先の拡大を図るべきであります。
また、備蓄品については、食料、寝具、簡易トイレ機能などに加え、炊き出しのためのLPガスなどの燃料を配置すべきであります。
民間施設での受け入れと備蓄品についての見解を求めます。
さらには、公立、私立を問わず、幼稚園、保育園、学校等の対策も重要であります。
交通遮断を招く大震災が発生した場合には、都内の各保育、教育機関の共通の取り組みとして、親が迎えに行けるようになるまでは、子どもたちを一定期間、預かり続ける必要もあります。都は、関係機関に強く働きかけ、必要な支援策を検討すべきであります。それぞれ関係各局の見解を求めます。
次に、長周期地震動対策について伺います。
ご存じのとおり、長周期地震動とは、揺れの周期が二秒から二十秒程度の地震動のことで、特に高さ六十メートルを超える超高層ビルや免震建築物への影響が大きいと考えられることから、その対策が求められております。
国は昨年十二月、超高層建築物等における長周期地震動への対策試案を示しましたが、いまだ検討中と聞いており、早急に対策をまとめるべきであります。
都内の有数の超高層ビルである都庁舎は、災害時には防災拠点となることから、その機能を確保するために、本年五月二十日、都庁第一本庁舎、第二本庁舎における長周期地震動対策への取り組みについて発表しました。
都内の超高層ビルは約千棟、全国の約二千五百棟の多くが東京に集中していることから、都庁舎の補強対策の情報を民間建築物にも活用できるよう積極的に提供していくべきであります。
また、都として、対策試案の対象となる民間建築物の所有者に対して、参考となる補強方法の事例などを提供していくべきであります。民間建築物における長周期地震動対策についての見解を求めます。
長周期地震動は、超高層ビルだけではなく、石油コンビナートのタンクにも被害を及ぼします。実際、十勝沖地震では、浮屋根式タンクで内容物が揺れ動く、スロッシング現象が起き、火災が発生しました。
早稲田大学理工学術院の研究によると、こうした石油タンクは東京湾内に六百基余りあり、東海、東南海地震が発生した場合は、そのうちの六十四基から貯蔵している原油等が流出するという調査結果を発表しております。
東京湾内には大小の船舶が多数航行しており、石油やガソリンなどの危険物が大量に海上流出すれば、航行停止を余儀なくされてしまい、災害時救援物資、人員輸送の機能を果たせなくなってしまいます。
また、海上からの消火活動も不能となるおそれもあり、加えて、東京湾内の十二の火力発電所に燃料の供給ができず、電力供給力も大幅に低下してしまいます。
都は早急に神奈川、千葉両県と連携し、石油タンクの耐震補強、長周期地震動対策に万全を期す必要があります。見解を求めます。
次に、東京湾の津波、高潮対策についてであります。
都は、関東大震災の再来を想定した津波の被害想定を平成三年に行っており、津波の高さは一メートル二十センチ程度、首都直下地震については、中央防災会議が五十センチ未満との想定を行っております。
しかしながら、今回の大地震では震源から約四百キロメートル離れた東京湾の晴海で一・五メートルの津波が観測されました。およそ三百年前に起きた元禄地震では、品川沖に約二メートルの津波が記録されております。
東日本大震災を踏まえ、都は現在の被害想定の再検証を行うとともに、これまでの津波、高潮対策を抜本的に見直す必要があると考えます。見解を求めます。
次に、東京港の水門、防潮堤の耐震対策についてであります。
東京港の臨海部には都市機能が集積しており、いざというときに浸水被害を食いとめる水門や防潮堤等の海岸保全施設の整備が極めて重要であります。しかし、建設後四十五年を経過している水門もあるなど、直下型の地震に備え、万全を期すことが求められております。耐震対策の一層の推進に対する見解を求めます。
さらに、東日本大震災を教訓に、地震、津波水害対策のあり方を検討するために設置された地震・津波に伴う水害対策技術検証委員会について質問いたします。
先月、第一回目の会合が開かれ、首都直下地震等に備え、地震、津波、高潮に対し、防潮堤や水門など、都内の防災施設の弱点を洗い出すことなどが確認されたと聞いております。技術検証委員会の目的、今後の具体的な取り組み内容とスケジュールについて見解を求めます。
次に、液状化対策について質問いたします。
東日本大震災では、地盤の液状化現象による被害が青森から東京湾沿岸にまで至り、広範囲に深いつめ跡を残すなど、世界でも最大最悪の規模となりました。
都議会公明党は、都内の被害実態を把握するべく、区部東部地域の被災現場の状況をいち早く調査いたしました。その結果、都の予測図では液状化の発生が少ないとされている地域の一部で液状化が発生していたことや、家のローンと修繕費等の二重負担に苦悩する住民の方々など、事態の重大性を再認識するとともに、東京湾沿岸の埋立地の液状化に対する脆弱性を改めて喚起させられました。
今後、首都直下地震や東海、東南海、南海地震の連動する巨大地震が懸念される中、液状化に強い都市づくりが急務であり、都の液状化対策の見直しは喫緊の課題であります。
そこで、三点質問いたします。
初めに、液状化予測図見直しについてであります。
都は、東京緊急対策二〇一一において、平成二十四年度までの二年間で液状化予測図の見直しを行うとしております。
予測図は、地域の液状化ハザードマップとして活用されるとともに、今後の地域防災計画の修正やライフラインを初めとする公共施設等の液状化対策を見直す上での基礎となることから、年度内にその概要を関係部署へ情報提供すべきであります。見解を求めます。
次に、都民の安心確保と液状化対策の推進についてであります。
予測図によって液状化のおそれのある地域と判定された住民は、そのまま住み続けるためには、どのような液状化対策を講じればよいのか、日々不安を抱えて生活することになります。
木造住宅における液状化対策に取り組み、液状化を診断できる技術者の育成や、アドバイザーの派遣、都民を対象とした液状化相談窓口の設置などについて検討すべきであります。見解を求めます。
第三に、液状化の被害を受けた世帯に対する支援であります。
東日本大震災で液状化被害に見舞われた都内の住宅は、被災者生活再建支援法の被災規模に関する要件に該当しないため、被災者は支援金の給付を受けられません。また、住宅の半壊被害を受けた世帯については、そもそも法の支援の対象となっておりません。
今回の液状化被害は広域にわたっており、地域による現在の指定要件は余りにも理不尽であります。都は、国に被災者生活再建支援法の適用要件の緩和、対象世帯の拡大を直ちに要求するべきであります。また、国が制度を改めるまでの間、地元自治体と連携し、被災世帯に対する支援を行うべきであります。見解を求めます。
次に、木造住宅密集地域対策について質問いたします。
石原知事は、災害に強いまちづくりに向け、木造住宅密集地域対策に本格的に取り組むことを表明されました。これまで都は、整備地域、重点整備地域を指定し、対策を進めてきましたが、権利関係の複雑さや居住者の高齢化に伴う建てかえ意欲の減退などにより、このままでは課題解決には相当の年数が必要となります。
木造住宅密集地域の課題解決のためには、建てかえ意欲を向上させていくことが何より重要であります。そのためには、都みずからが住民に対し、迫りくる直下型地震の危険性を明らかに示し、住民みずからの危機意識を喚起することが大変に重要であります。見解を求めます。
また、緊急対策二〇一一に、木造住宅密集地域の整備促進に向けて、都みずからが地区を指定し、モデル事業を行うとしております。都が区市と連携しながら直接取り組むことは、災害に強い東京のまちづくりに向けて大きな成果が上がることが期待されております。地区の指定に当たっては、今まで取り組んできたものの、なかなか進んでこなかった地域や、今後のまちづくりにあって、インセンティブがより高まる地域を指定すべきであります。見解を求めます。
また、指定地区については、今年度の早い時期に決定することを強く要望いたしておきます。
次に、放射能対策について質問いたします。
福島第一原発事故による原子力災害が長期化する中で、政府からの誠実な説明がない中、ドイツ気象庁による放射性物質拡散予測がインターネット上で公表されたり、IAEAへの報告書の中で、実は三月中にメルトスルー、炉心貫通していたことが今ごろになって明らかにされるなど、国は正確な情報を公開していないのではないかとの不安と怒りの声が国の内外から高まっております。そもそも昨年の事業仕分けでパフォーマンスを優先し、放射線モニタリング調査の予算を削減した政府、民主党に今さら期待すること自体が無理なことであります。
都議会公明党は、過日、都の健康安全研究センターを視察いたしました。そこで、水素爆発後の三月二十一日から二十二日にかけて、降下物中のセシウム137が、一平方メートル当たり五千三百ベクレルも都内で検出されていた事実を確認してまいりました。この数値は、昭和三十二年に文科省が調査を開始して以来、核実験などが頻繁に行われていた時期やチェルノブイリ原発事故発生の時期など、過去最も高かった数値と比較しても五倍以上の高い数値であります。
降下物測定値は、従来から月単位の積算量が文科省によって公表されておりますが、今後、三月分の月間測定値が文科省によって発表されると、いたずらに都民を不安に陥れかねません。健康影響に対して、客観的なデータに基づいて説明すべきであります。見解を求めます。
都は、我が党の要望を受けて、去る六月八日に都内における空間放射線量の測定を拡充すると発表し、都内百カ所の放射線量の測定を行いました。しかし、今なおPTA保護者からは、学校のプール清掃や水泳の授業、さらには校庭への影響について不安の声や質問が多く寄せられております。都は、こうした不安にこたえるために、引き続き測定を行うとともに、学校や公園などの土壌やプールの水を含めた、より綿密な都独自の放射線量のモニタリングを行うべきであります。
また、放射線量測定や放射線の人体への影響について高度な知見を有する首都大学東京も活用すべきであります。また、首都大学東京は、放射能対策に今こそ積極的に協力していくべきと考えます。あわせて所見を求めます。
都内では、新宿区内のモニタリングポストのほか、国の委託を受けた大学が、文京区、目黒区、港区、府中市、八王子市で測定を行っております。都は今後、二カ所増設するとしておりますが、その増設箇所については、これまで測定の行われていない区部東部地域と多摩北部地域にこそ設置すべきであります。見解を求めます。
さらに、放射線のリスクの程度や対処の仕方など都民向けの放射線セミナーの開催やホームページの活用、さらには学校での普及も積極的に進めるべきであります。
また、内部被曝から子どもを守るとの観点から、学校給食の安全確保の取り組みが重要であります。あわせて見解を求めます。
都内の下水道施設でも、下水汚泥や焼却灰から放射性物質が確認されております。焼却灰は施設外へ飛散しないよう管理をし、搬出に当たっては飛散防止の措置を講じ、埋立処分をしているとのことですが、過日、誤った報道もあり、必ずしも都民に正確な情報が伝わっているとはいえません。下水道局は、施設周辺の放射線量の測定頻度を高めるべきであり、ホームページなどで都民にわかりやすく公表すべきであります。
また、汚泥の測定や取り扱いについても、首都大学東京などとも連携し、取り組みを進めるべきであります。都の見解を求めます。
次に、電力対策について質問いたします。
東日本大震災による原発事故に伴う電力危機は、電力に過度に依存した社会の脆弱性を明らかにしました。これまで都は、電力の需要面に着目した対策に重点を置き、省エネや節電の取り組みを進めてまいりましたが、今後は電力の需給両面からのエネルギー政策へと転換していく必要があります。今こそ、これまでの取り組みのノウハウを生かし、企業、家庭などすべての一五%節電をなし遂げ、電源についても原発、化石燃料発電に依存するだけではなく、防災の観点からも分散型電源と再生可能エネルギーへの転換を図るべきであります。
国では再生可能エネルギーの全量固定価格買い取り制度が議論されており、これが成立すると再生可能エネルギーの普及が大きく前進します。都は、太陽光や風力、小水力、バイオマスなど再生可能エネルギーを活用した分散型電源をスマートグリッドで結ぶ都市を目指すべきであります。
申し上げるまでもなく、スマートグリッドは、それぞれの発電や電力消費の状況を情報技術の駆使によって把握し、それを制御することで効率のよい電気の流れを実現する仕組みであります。これにより、発電量が安定しないという再生可能エネルギーの課題が是正され、大量普及が可能となるわけであります。
こうした次世代送電網であるスマートグリッドの導入を早急に検討すべきであります。所見を求めます。
また、風力発電のような、都内だけでは風が弱いために普及が困難なエネルギー源の導入拡大については、より広域で検討するなど、これまでにない取り組みが必要であると考えますが、再生可能エネルギーの普及拡大について見解を求めます。
また、省エネルギー対策について、効果的に節電を行うことのできる新たな技術の開発も求められております。画期的な省エネルギー技術が東京から生まれるよう、都内の企業、大学、公設の試験機関等による技術開発を積極的に推進していくべきであります。見解を求めます。
家庭の省エネルギーについても、積極的な工夫が必要であります。できるだけ自然の力を利用するパッシブ利用も効果があるとされ、こうした考え方や行動を速やかに広く啓発していくために、一般家庭向けの省エネフェアなどを活用して普及強化すべきであります。見解を求めます。
次に、中小企業対策について質問します。
今回の大震災によって、都内の中小企業も大きな被害を受けました。自社施設の被害とともに、サプライチェーンの寸断、計画停電の影響による生産の減少やイベントの自粛による売り上げの減少、さらには放射能の風評被害による輸出の低迷などで、資金繰りや雇用の維持に大変に苦しんでおります。この前例のない危機に対して、都は早急に支援を講じる必要があります。
まず、経営基盤の安定のためには、資金繰りの支援が欠かせません。都は、震災後直ちに災害復旧資金融資などを実施し、さらに、国の東日本大震災復興緊急保証制度に対応し、災害緊急融資を新たに五月二十三日より実施しました。しかしながら、各緊急融資については期限があるため、長期にわたる事業再生に向けた支援が必要であります。
そこで、財務や販売、事業戦略などの専門家によるサポートを行い、事業の抜本的な見直しに向けた取り組みが円滑に進む体制整備を図るべきであります。また、新たな融資制度については、金融機関や区市町村と連携を図り、迅速化を図るなど、円滑な融資に努めるべきであります。あわせて見解を求めます。
次に、電力不足に対する対応であります。
首都圏の電力供給を支える原子力発電所の被害により計画停電が実施され、多くの中小企業が影響を受けました。今後も電力需要の状況によっては、再び計画停電が実施されることが考えられます。
そこで、安定的に事業を継続していくためには自家発電設備を導入し、電力を確保していくことも効果的であります。中小企業にとっては、そのノウハウや価格など多くの課題を抱えております。都としては、自家発電設備の設置に対して支援するとともに、助成を行っていくべきであります。見解を求めます。
次に、イベントの開催ですが、震災後中止となったイベントが多く、イベント自粛に対する早急な対策が必要であります。東京の地域経済の復興に向けた機運を高めていくには、都内のさまざまな商店街のイベントに対し、支援を行っていくべきであります。見解を求めます。
次に、災害破損物対策について質問いたします。
今回の大震災で、岩手、宮城、福島の三県で二千五百万トンという膨大な災害破損物が発生しました。一方で、被災自治体では、廃棄物処理施設の損壊により、その処理が滞っているのが実情であります。国は、全国の自治体に受け入れ処理の協力を求めていますが、いまだ具体的な受け入れは始まっておりません。
都は、都内自治体や民間と共同で災害破損物を受け入れるという都独自の計画を打ち出しておりますが、災害破損物の撤去を早急に開始できるよう、今回のスキームを被災各県、市に周知するとともに、都内自治体、民間と連携し、受け入れ体制を整えるべきと考えますが、見解を求めます。
また、今回の災害破損物の中には、木質廃棄物も大量にあります。これらを木質チップ化し、バイオマス燃料に活用するなどしてリサイクルするべきであります。見解を求めます。
次に、震災時における警察機能の確保について質問いたします。
今回の大震災では、岩手、宮城、福島の三県の警察関連施設などが大きな被害を受けました。浸水により使用できなくなった警察署や交番、駐在所、警察車両などが数多く損傷し、警察機能が大幅に低下しました。
一方で、東京においても公共交通機関がストップし、交通渋滞や帰宅困難者の課題が浮き彫りになり、さらには停電による都市機能の混乱も発生しました。首都機能を有する東京にあっては、こうした場合、どこよりも早く都民の安全・安心を回復することが重要であり、その第一要件は、やはり警察機能の確保であります。
立地的に液状化や津波、高潮を受けるおそれのある警察施設の安全対策、また、警察活動の拠点となる交番や各種警察施設の電源確保策について見解を伺います。
最後に、二〇二〇年オリンピックの東京への招致について申し上げます。
昭和三十九年に開催された東京オリンピックは、第二次世界大戦で敗戦した日本が再び国際社会に復帰するシンボル的な意味を有しておりました。競技においては、東洋の魔女とまで呼ばれた日本バレーボール女子チームやマラソンの円谷幸吉選手など多くの選手が日本じゅうに夢と希望を与えてくれました。日本経済においても、競技施設やホテルの建設だけでなく、東海道新幹線や首都高速道路、名神高速道路などのインフラが整備され、カラーテレビの購入が飛躍的に増加するなど、オリンピック景気といわれる好景気をもたらしました。
技術面では、競技に電子時計を採用し、オリンピック史上初めて計測と順位に関してノートラブルを実現、世界的な信頼をかち取ることに成功しました。
三月十一日に発生した東日本大震災は、東北、関東の被災地に甚大な被害をもたらしただけでなく、日本全体の景気経済をも悪化させております。東京が被災各県の皆さんと手を携え、被災地に、そして子どもたちを初め、多くの人々に夢と希望を与え、日本を再生させていくシンボルとして、オリンピック、パラリンピックを位置づけていくことが重要であります。
そのためには、まず結論ありきではなく、都民を初めとした幅広い世論の喚起を促し、さらにスポーツ界や経済界、そして被災各県の招致に向けた機運を高める努力をしていくべきであると強く申し述べ、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 谷村孝彦議員の代表質問にお答えいたします。
試練の中から次なる文明社会の道を開くことについてでありますが、我々は今日、文明社会を発展させることで、かつてない豊かさを手には入れましたが、これが果たして本当の文明的な成熟であるかどうかは幾つか疑わしい点もあると思います。確かに、飢餓や病苦から逃れて便利で快適な暮らしは実現しましたが、一方では資源の浪費を当たり前のこととし、我々人間の生命的な存在の舞台であります地球に大きな負担をかけて、このままでは、温暖化も進めば、みずからの首を絞めてしまうことにもなりかねません。今求められているのは、はるばるここまで来ましたが、これから先にどういう努力でどういう文明社会をつくり出していくかという新しい人間全体にとっての目標設定であり、それを実現するための方法であると思います。
今回の大震災によって、エネルギー危機に直面した日本と東京は、現下の国家的試練を乗り越えなければなりません。同時に、正当な文明批判の視点に立って、我々が存在していくための越えなくてはいけない試練も乗り越えるための工夫が必要だと思います。
東京は過剰な便利さ、便宜さに漬かった現代文明社会のいびつさを正しつつ、これまでのキャップ・アンド・トレード制度や緑の増加などもあわせて環境と調和を軸に据えた新しい文明社会を世界に先駆けしてつくっていきたいと思っております。
質問にありましたトインビーは有名な「歴史の研究」という本の中で、いかなる大国も必ず衰弱し、場合によっては滅亡もすると。そのための原因はいろいろあるけれども、最も重要な原因、それに陥ると克服しにくい亡国の原因は、自分のことを自分で決定する能力を欠いたことだといっておりますけれども、まさにそのとおりだと思います。私たちは、敗戦後六十五年間、アメリカの一種の囲い者をしてきました。実際、私たちは、例えば日米関係に限って見ても、どれだけ我々の主張をはっきりいっていい分を通したかというと、私はそういう政治にうんざりして国会やめましたけれども、私たちそれを反省する時点に差しかかっているんじゃないかと思います。
そうした国のあるべき心を引き戻すためにも、東京から大きな戦略を構えて着実に実行しながら未来につながる社会のありさまを造形していきたいものだと思っております。
次いで、帰宅困難者対策についてでありますが、東日本大震災は東京から遠く離れた場所で発生しましたけれども、鉄道がとまり、道路は大渋滞になり、多くの帰宅困難者が発生し、都内は非常に混乱いたしました。首都直下地震が起きた場合、鉄道がとまることも想定し、建物の倒壊や火災等で道路も危険な状態となるおそれがありますし、膨大な数の帰宅困難者が発生して、今回以上の混乱となることは必定であります。
このような帰宅困難者問題に対応するには行政の取り組みだけでは限界がありまして、繰り返して申してきましたけれども、やはり自助、共助というものを最大に活用して社会全体で取り組んでいくことが不可欠だと思います。
このため、行政、鉄道事業者、企業や学校、都民など各主体の役割と責任を明確にするとともに、安全が確保されるまでの一斉帰宅の抑制、あるいは帰宅困難者が待機できる施設の確保、あるいは家族との安否確認や正確な情報提供手段の確保など、対策を強化する必要があると思います。現に、先般の震災では、ほとんど携帯電話が通じなかったという事例もございます。とりわけ、JR東日本は先日、社長が三月十一日の対応について謝罪に来ました。事もあろうに、公共のスペースであります駅をシャッター閉めて、中にいるお客さんを追い出したという言語道断な話でありまして、いいわけでは、駅員は手分けして鉄道の点検に行ったというけれども、日ごろ客を案内している職員がおりたって点検できるわけはないんで、いいわけはいいわけだと聞いておりましたが、いずれにしろ、首都圏最大の交通事業者として、その責任を十全に果たしていくべきだと思います。
道路の状況が落ちついた段階では、徒歩や陸上輸送に加え、海上輸送を実施するなど、帰宅困難者が早期に帰宅できる取り組みを行わなきゃいかぬと思いますが、これ実は今まで、九月一日にあった災害対策でアメリカの艦船に千葉県、あるいは神奈川県の海岸べりにいる方々を運んでもらうために、わざわざ艦船を呼び出していましたが、残念なことに、今回危機管理体制が動転しまして、今までやってきたのを、このオファーをしていなかったんですな。ですから、もしあれにアメリカの艦船なり、日本の横須賀から海上自衛隊の艦船がやってきて運べば、それは東京湾というのは閉鎖水域でわずかなものでありますから、千葉県、神奈川県、千葉県とジグザグに走って、何カ所かでお客さんたちをおろせば、彼らははるばる歩いて家へ帰宅することもなしに、比較的距離も短縮された形で帰宅できたと思うんですけれども、大変これは反省しておりますけれども、そういう指導がなかったということも、これは反省の一つの大きなポイントだと思っております。
いずれにしろ、いつ起こってもおかしくない首都直下地震に備えて、確かな手だてをたゆみなく講じて、震災時の都民の安全確保に万全を期してまいります。
ちょっと順番を間違えましたが、最初のご質問の政治主導の発揮についてでありますけれども、政治主導というのは政治家が号令して官僚をうまく早く積極的に動かすことだと思います。残念ながら今度の政府は、それを全く緊急時に行わないできた。どういうつもりか知りませんが、私、日本の戦後の官僚というのは非常に問題があると思います、国家の官僚は。これが私は日本をだめにしたと思っていますけれども、それに対する批判は結構なんですが、やっぱり官僚は官僚でありまして、できたての政府が、経験があるわけでもありませんし、今までの経験の蓄積というものを利用するためにも、これは官僚を駆使して対処するということも私は政治家の力量だと思いますけれども、そもそも何のつもりか知らぬけれども、マニフェストなる怪しげな声明で事務次官を廃止するって、さすがにこれはできなかったけれども、いった手前、事務次官の会議を一向に開いていない。私、仙谷君にもいったんです。やりますって、やります。部分的にやったけれども、全部の事務次官集めて、全官僚の代表の事務次官を集めて会議をすることで初めて要するに縦割りの行政というものは横ぐしが通るわけでありまして、これをとにかくしないでいるということは、全くていたらくが右往左往するだけで、政府の機能が不全を来しているということだと思います。
普天間の問題でも、感情を吐露するだけでは困るんで、稚拙な対応で、日米間の信頼関係と沖縄県民の思いをいたずらに傷つけましたな。
震災にあっては、被災地の切なる要望も吸い上げられずに、集まっている義援金が、つまり国民のいたわりの心が要するに義援金としていまだに届いていないというのも、これは本当に何というか、ばかばかしいというか、愚かというか、ずさんな話であります。
またあわせて尖閣諸島をめぐる事態でも、中国人のぶつけてきた船長を釈放したのは地方の検事ということで責任転嫁をする。政治が政治としての判断をしないというのは、これは噴飯といいましょうか、非常に国家にとっては危険なことだと思います。
電力不足への対処でも、国は数字目標は示しても具体の策を一向に示さない。私は、首都圏の知事が集まって発言して、とにかく日中からチンジャラチンジャラ、ネオンもつけてパチンコをやるのはどういうものかと。まして、外国に例のない自動販売機が林立している。これは確かにマーケットに、店に物を預ければ歩合取られるようでしょう。自分たちが自身で設置した自動販売機ならフルに稼ぎが手に入るわけでありますから、そういう痛痒もあるのかもしれませんが、しかし、いずれにしても考えてごらんなさい、これ。いかなる先進国、ヨーロッパの国でも、ロンドンでもパリでも自動販売機はありません。なぜないかというと、治安の問題なんですよ。あったら、ほとんど一晩でなくなるでしょう。これは、日本の治安のよさの現象でありまして、表象でありまして、皮肉な現象ですけれども、それにしても、この事態の中で私は自動販売機が林立しているということは、私は考慮されるべき問題だと思いまして、私たちが発言しましたら、やっと業界も自粛して、反対したところもあるみたいだけれども、最初にコカ・コーラのアメリカの会社がそうだということでやり出して、パチンコ業界もみずからいい出して二五%以上の節電するといってきていますが、本当はこれは政府が政令を出してやることだと思いますけれども、現にかつてのオイルショックのときには自民党の政府はそれやりましたな、徹底して。
そういうことで、残念ながら、今の実態を見ていますと、ナポレオンの言葉じゃありませんけれども、有事のときに一番怖いのは能力のある敵じゃないと。無力な無能な味方だといいますが、私たちはえらい政府をいただいちゃったなという感は、残念ながら否めません。
東京は、震災を乗り越えて日本を再生に導くために全力を尽くしますけれども、国にはともかくもう少ししっかりしてもらいたい。時には憎まれることも覚悟してでも、確固たる意思を持って、具体的な手だてを講じることで、官僚を具体的に動かして、国民の我欲も抑えて、全体が団結することでこの復興というものも可能になってくるんじゃないんでしょうか。これができて初めて政治主導といえるんじゃないかと思います。
あとは担当の幹部がお答えいたします。
〔警視総監池田克彦君登壇〕

〇警視総監(池田克彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
初めに、警察施設の安全対策についてであります。
警視庁では、各自治体のハザードマップに示されました洪水による浸水想定区域などを参考に、津波、高潮による被害を想定し、その対策として六十四の警察施設について、今後五年間で防潮板を整備していくことを計画し、当面、今定例会に上程されています補正予算に施設の調査、設計委託費を計上しているところでございます。
また、液状化につきましては、警視庁の施設もこのたびの震災において術科センター等が被害を受けたところであります。これら施設の修繕費を補正予算に計上しているところでございますが、液状化対策につきましては、今後、想定区域などについて関係機関とともに必要な調査を行ってまいりたいと考えております。
なお、東日本大震災では津波による浸水想定区域外での被害も甚大であったとの報道もございました。そこで今後、関係機関と連携を図りながら、警察施設の安全対策について、さらに検討を加えてまいる所存でございます。
次に、交番や各種警察施設の電源確保策についてでございます。
警視庁では、震災等による停電に備えて、すべての警察署に非常用電源装置を設置しており、先般の計画停電の際も警察業務に支障を来すことはございませんでした。
しかしながら、交番、駐在所については、その半数以上に非常用電源装置が設置されていないのが現状でございます。
こうした施設では、停電時には発動発電機等を使用するなどして対応してまいりましたけれども、先般の計画停電の教訓を踏まえ、今後四年間で構造上設置が難しい施設を除き、必要な施設に非常用電源装置を整備することとしており、当面、補正予算に約百施設についての整備費を計上しているところでございます。
警視庁といたしましては、交番、駐在所を初めとする警察施設に計画的に非常用電源装置の整備を進め、まちの安全を守ってまいりたいと考えております。
〔教育長大原正行君登壇〕

〇教育長(大原正行君) 三点のご質問にお答え申し上げます。
まず、宮城県への養護教諭の派遣についてでございます。
養護教諭は、児童生徒の心のケアに大きな役割を果たしており、被災県への派遣は重要な意義を持つものでございます。このため、都教育委員会は宮城県に全体で六十八名、うち三名の養護教諭を派遣いたしましたが、養護教諭が依然として不足している宮城県から各都道府県に追加の派遣要請があり、都教育委員会は他県と連携して派遣を実施することといたしました。
養護教諭は、原則一校一名の配置でございまして、お話のように、後任者の補充がなければ派遣が困難であることから、後任要員として養護教員の退職者を全国から募集し、適任者を確保することができました。
そこで現在、配置校や住居などについて宮城県と最終的な調整を進めているところでございまして、今後、速やかに養護教諭を派遣してまいります。
次に、公立学校における大規模震災時の児童生徒の保護についてでございます。
都教育委員会は、学校危機管理マニュアルに基づき、児童生徒が在校時に発災した場合には、安全が確保されるまでの間、校内の安全な場所に保護することとし、全都立学校に児童生徒の三日分の飲料水、食料、毛布等を備蓄しております。
なお、安全確認ができた場合、または確実に保護者等への引き渡しができる場合には、児童生徒を帰宅させることとしております。
今般の東日本大震災を踏まえ、さらに実効性が高くかつ実態を反映した学校危機管理マニュアルに改訂すべく取り組んでいるところでございまして、区市町村教育委員会に対しても、このマニュアルを参考に個別の課題を点検、分析し、児童生徒の安心・安全の確保に取り組むよう働きかけてまいります。
次に、学校給食の安全確保の取り組みについてでございます。
各都道府県は、本年四月四日付厚生労働省事務連絡、農畜産物等の放射性物質検査について等に基づき検査を実施しております。食品衛生法の暫定規制値を超えた食品に対しては、原子力災害対策特別措置法に基づき、内閣総理大臣が地域、品目を指定して出荷制限の指示を行っており、国として食品の安全確保体制が整えられております。
これまで各公立学校においては、出荷制限地域、品目に十分留意して食材の調達を行ってまいりましたが、学校給食に携わる職員が放射能の健康影響に関する理解を深め、新しい情報を日々確認することは極めて重要でございます。
都教育委員会は、今後、校長会や栄養職員の研修等におきまして、放射能に関する知識、情報を適時、的確に伝達し、安全・安心な学校給食の実施に努めてまいります。
〔東京都技監河島均君登壇〕

〇東京都技監(河島均君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、民間建築物における長周期地震動対策についてでございますが、国は昨年十二月に超高層建築物や免震建築物における長周期地震動の対策試案を示し、取りまとめを行っておりましたが、本年三月の東日本大震災を踏まえ、現在さらに検討が必要であるとしております。
都内の超高層建築物においても、今回の大地震により、長時間にわたり大きな揺れが観測されたことから、超高層建築物等の構造上の安全性に対する都民の不安を解消するため、一日も早く対策をまとめるよう強く国に求めてまいります。
今後、国の対策が示された場合には、直ちに関係区市や民間の確認検査機関への普及啓発を図るなど、国と連携し必要な対策を講じてまいります。
都としては国の動きと並行して、超高層建築物や免震建築物について専門家の知見を踏まえ、制震構法などを導入した民間建築物の先進的な補強方法や都庁舎の取り組み事例、さらには家具の転倒や什器の移動を防止する対策などについて、建物所有者等に対して広く情報提供をしてまいります。これらのことを通じて、首都東京の安全確保に向け積極的に取り組んでまいります。
次に、木造住宅における液状化対策への取り組みについてでございます。
液状化による建物被害は住民の生活に大きな影響を与えることから、建築物の所有者や建て主が事前に対策を講じ、液状化に備えていくことが重要でございます。
このため、七月末を目途に、専門家を含めた検討委員会を設置いたしまして、木造住宅を含む建築物を対象として、地域の地盤特性に応じた対策を検討し、都民にとってわかりやすい液状化対策の指針を作成した上で広く情報を提供してまいります。
また、技術者の育成やアドバイザーの派遣など、都民が安心して対策に取り組めるような環境整備についても検討してまいります。
こうした取り組みを区市とも連携して進めることにより、液状化対策を推進してまいります。
次に、木造住宅密集地域の解消に向けた都民の危機意識の醸成についてでございます。
これまで都は、地震の揺れによる建物倒壊や火災の発生による延焼の危険性を地域危険度として昭和五十年より公表してきたほか、平成十二年からは震災復興シンポジウムを毎年都庁で開催して、災害に強い都市づくりの必要性などについて広く都民への周知に努めてまいりました。
しかし、今回の大震災を踏まえ、木造住宅密集地域を早期に解消し、燃えない、壊れない都市東京を実現していくためには、そこに住む人々が我が身に迫る危険性をみずからの問題として認識する必要がございますが、こうした現実を必ずしも直視しているとはいいがたい状況でございます。
このため、これまで行ってきたシンポジウム等だけでなく、木造住宅密集地域の現地に出向いて、防災の専門家や被災体験者とともに建物の倒壊や火災による焼失の恐ろしさをリアルに伝え、当該地域が抱える危険性や将来のまちづくりに向けた情報を直接都民に知らせる場を設けてまいります。このことにより、目前に迫る危機に対する都民の意識を高め、実践的な行動を促してまいります。
最後に、木造住宅密集地域におけるモデル事業についてでございますが、都は区と連携して防災都市づくり推進計画を策定し、重点整備地域等を定めて、延焼遮断帯となる道路の整備や建物の耐震化、不燃化に取り組んでまいりました。
その結果、重点整備地域の不燃領域率は、平成八年から十年間で四八%から五六%に向上するなど、着実に改善が図られてきました。
これを受けて、平成二十一年度の計画改定では、それまでの目標を五ポイント引き上げ、平成二十七年度までに延焼による焼失率がほとんどゼロになる六五%を目指すこととしております。
しかしながら、木造住宅密集地域は権利関係が複雑で合意形成に時間を要することなどから、更新が進まず従来のまま残されている地区もあり、その解消には至っていないのが実情でございます。
このため、これまでの事業の進め方について検証しながら、まちづくり施策や税制、居住者の生活支援策などを総動員した新たな手法を開始していくことといたしました。こうした新たな手法を生かして、例えば、重点整備地域のうち、地元自治体の取り組み意欲は高いものの、不燃領域率の改善や延焼遮断帯の形成が進まない地区などを選定し、今後、重点的にモデル事業に取り組んでまいります。
〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

〇産業労働局長(前田信弘君) 六点のご質問にお答えいたします。
まず観光による被災地の地域経済活性化支援についてであります。
観光は、多くの産業に経済波及効果をもたらすことから、大震災や原子力発電所事故、風評被害等により甚大な影響を受けている被災地の地域活性化に大きく寄与することが期待されております。
そこで、被災地への旅行を促進させるため、都内の旅行事業者と連携いたしまして、岩手、宮城、福島の被災三県などを目的地とする被災地応援ツアーに対して旅行代金の一部を助成することといたしております。具体的には、ツアー参加者一人につき一泊三千円、延べ五万泊の助成を予定しております。
これにより、被災地における経済活性化を支援し、他の被災地支援事業とあわせて復興を後押ししてまいります。
次に、省エネルギーに係る技術開発についてであります。
都内の中小企業、大学、公的な試験研究機関等の持つすぐれた技術力を生かし、効果的に省エネルギーを実現する技術や製品を生み出す多様な取り組みを推進していくことは重要であります。このため、都ではエネルギーの効率的な利用技術など、中小企業による新規性の高い技術開発に対し、新製品・新技術開発助成事業により支援を実施しております。
また、昨年度から実施している都市課題解決のための技術戦略プログラム事業におきまして、首都大学東京と都立産業技術研究センターが共同研究の成果を中小企業と協力して実用化する技術開発プロジェクトに対して支援を行ってまいりました。
具体的には、各家庭やオフィスにあります小型の電子機器について、送電されている電力の一部が有効に活用されず、周辺の機器類の誤作動の原因となるノイズの発生源ともなる場合があるため、そのような状態を改善する装置の開発などが進んでおります。
こうした取り組みを通じて、都内中小企業等による省エネルギーに役立つ技術開発を的確に支援してまいります。
次に、中小企業の根本的な経営の見直しに対する支援についてであります。
今回の震災の影響によりまして、会社経営のあり方を根本から見直していく必要が生じました中小企業に対して、その課題を十分に検証して効果的な解決策を提供できる相談体制を整備することが重要になっております。
都は、円高により経営内容を根本的に見直そうとする中小企業に対しまして、今年度から円高対応・企業変革アシストプログラムを実施しておりますが、今後は震災をきっかけに経営の本格的な改革を目指す企業も対象に加えてまいります。
具体的には、中小企業診断士等の専門家を一社当たり最大十回まで無料で派遣し、経営支援を行います。そうした中で企業経営の課題を明らかにして、計画的な解決につなげるための企業変革プランと具体的な対応策を盛り込んだ実行プログラムを策定し、会社経営の見直しをサポートしてまいります。
こうした専門家によるきめ細かな取り組みにより、中小企業が新しい会社経営の展開を実現できるよう支援してまいります。
次に、震災に対応した新たな融資制度についてであります。
都は、今回の震災により、直接、間接の被害を受け、経営に支障を来している都内中小企業に対応した制度融資として災害緊急を創設しております。
制度開始に当たりましては、迅速な取り扱いがなされますよう国と連携して区市町村向けの説明会を開催するとともに、取扱金融機関等に制度の周知を図ってまいりました。これら関係機関の協力によりまして、本制度は、小売業、印刷業、建設業など幅広い業種にわたる中小企業で利用が進んでいるところでございます。
今後、すべての取扱金融機関に対して重ねて協力を要請していくなど、引き続き本制度の円滑な運用に努めてまいります。
次に、中小企業に対する自家発電設備の導入支援についてであります。
今回の震災の影響により電力不足が懸念される中、事業活動を安定して継続できるよう支援を行うことが重要となっております。このため、都は生産活動に多くの電力を必要とし、節電の努力だけでは限界のある都内中小企業に対して、電力や経営に詳しい専門家を派遣いたしまして、発電設備に適用される法令やランニングコスト等に関する具体的な計画づくりについてサポートいたします。
その上で、発電設備の整備は、企業にとりまして資金面で大きな負担となるため、経費の助成を行うことといたしまして、今年度中の申請につきましては、導入費用の三分の二を助成いたします。
こうした取り組みを通じて、都内中小企業の電力確保を的確に支援し、経営環境の改善につなげてまいります。
最後に、都内の経済活性化に向けた商店街イベントについてであります。
商店街が開催いたしますイベントにより、震災後生じました消費を自粛する雰囲気を払拭して、地域の経済活動を活性化し、その復興につなげることが重要になっております。
都は、これまでも新・元気を出せ商店街事業において、区市町村と協力して商店街が開催するイベントを支援してまいりました。同事業を活用して、商店街の創意工夫によるイベントを通じて集客を図り、まちのにぎわいを創出することで、買い物客の消費活動を喚起し、地域経済の一層の回復を促してまいります。
今後とも、こうした取り組みにより、地域の商店街イベントを支援し、都内の経済の活性化を着実に図ってまいります。
〔総務局長比留間英人君登壇〕

〇総務局長(比留間英人君) 十二点のご質問にお答えをいたします。
まず、被災地への職員派遣の実績と成果についてでございます。
都は、これまで延べ一万七千人を超える職員を被災地に派遣し、総力を挙げて被災地支援に取り組んでまいりました。
具体的には、発災直後に警察、消防が出動し、献身的に救出救助活動に従事するとともに、医療職による救護活動、保健相談、技術職によるライフラインの応急復旧や建築物の危険度判定、事務職等による罹災証明発行など、さまざまな支援活動を行ってまいりました。
これら都職員の活動に対し、例えば、都が医療救護活動のリーダー役を担っているとの感謝の言葉や、職員の瓦れき処理が早期の学校再開を実現したとのお礼など、多くの感謝の声が寄せられております。
被災地の状況が日々刻々と変化している中にあって、今後とも、都は、現地事務所による情報収集活動をもとに、被災地の方々に真に役立つ支援に全力で取り組んでまいります。
次に、今後の職員派遣のあり方についてでございます。
震災後三カ月が経過し、被災地が今後支援を要する業務は、壊滅的な被害を受けたまちの復興、被災者の生活再建、多くの職員が被災した自治体の立て直しなど、質的に変化してきております。
これを受け、都の人的支援も、当初の短期派遣から、中長期にわたり専門技術や行政経験を有する職員を派遣する方向へ移行しつつあり、道路や港湾施設の復旧や学校授業の正常化に向け、技術職員や教員の派遣を開始したところでございます。また、被災県における復興計画策定や、被災した市町村の行政機能再建などに、現在、都として支援を申し出ておりまして、順次、都職員を中長期で復興所管部門に派遣をしていく予定であります。
今後も現地のニーズを十分に踏まえ、職員が都で培った技術やノウハウを生かし、被災自治体の業務の一翼を継続的に担うことで、早期の復興に貢献をしてまいります。
次に、衛星通信を活用した災害情報の把握でございます。
都は、発災時に区市町村や防災機関から得た被害情報を集約する災害情報システム等を整備するとともに、ヘリコプター映像や消防職員などが撮影した被災現場の画像なども活用し、多様な手法により災害情報を把握することとしております。
現行の方法に加え、災害情報の把握に衛星通信を活用することは、災害の影響を受けずに情報収集が可能になるとともに、広域的かつ高解像度のデータが得られることなどから有効と考えます。
現在活用できる観測衛星の状況では、データの更新に一定の時間を要しますが、今後、日本の独自観測衛星の打ち上げが予定されており、データ入手に要する時間の短縮が期待されます。こうした動向を踏まえ、災害情報の把握に衛星通信の活用を検討してまいります。
次に、防災機関などの通信手段の確保についてでございます。
今回の震災では、携帯電話による通話やメールなど、多くの通信媒体が機能せず、発災時において安定的な通信を確保するため、通信手段を多様化することの重要性が明らかになりました。
都は、これまでも区市町村や警察、消防などの重要な防災機関には、映像やデータを送れる多重無線と、電話、ファックスが使える無線を配備するなど、防災行政無線を二重化して、確実な通信の確保に努めてまいりました。
今後は、今回の震災を踏まえて、防災関係機関の通信手段のさらなる多様化に向け、避難所や主要駅、協力団体など、関係機関相互の情報連絡の現状を検証した上で、防災行政無線のほか、携帯型無線機や災害時優先電話などの活用を検討してまいります。
次に、安否確認サービスの技術開発などについてでございます。
災害時における家族や友人の安否確認は、人々の不安を和らげるとともに、安全が確保されるまで落ちついて行動ができるようになるなど、発災直後の混乱を抑制するためにも極めて重要でございます。
今回の震災では、事業者による通信規制と基地局の通信容量を大幅に超えるアクセスの集中により、災害時の安否確認の手段として期待されていた災害伝言サービスについても接続が困難になるなどの事態が生じました。
このため、今回の教訓を踏まえ、安否確認サービスなどについて通信事業者を含めた協議の場を設置して、対策の検討に着手いたします。また、通信事業を所管する国に対しても、発災時における情報通信基盤の強化について強く働きかけてまいります。
次に、防災行政無線についてでございます。
震災の発生時において、住民に対する的確な避難誘導や正確な被害情報の伝達を行う上で、防災行政無線は有効な手段でございます。
このため都は、区市町村が住民に防災行政無線を活用してよりきめ細かな災害情報を伝達できるよう、火災や建物の倒壊場所等の地図情報、高所に設置したカメラからの被災映像等を新たに配信するなど、災害情報システムの機能を拡充してまいります。さらに今後、防災行政無線の運用状況の調査を行い、行政区域をまたがる情報の伝達など、広域的な観点から課題を検証した上で、国に対して必要な要望を行うなど、防災行政無線の有効活用に向けて区市町村を支援してまいります。
次に、帰宅困難者対策訓練についてでございます。
三月十一日の東日本大震災では、都内の広範囲な地域で大量の帰宅困難者が発生し、日中の発災にも変わらず、その対応は深夜、早朝にまで及んだところでございます。
首都直下地震が夜間や悪天候時に発災した場合、今回とは異なる厳しい状況の中で一層の混乱が生じるおそれがあることから、発災の時期、時刻、天候など、さまざまな状況を想定した対策を講じておく必要がございます。
このため、都は国、経済団体、鉄道事業者などと、帰宅困難者対策について総合的に検討する協議会を早期に設置し、行政や事業者の役割と責任を明確化するとともに、それぞれが連携して行う取り組みなどを具体化してまいります。さらに、その検討の成果を踏まえ、悪条件下での発災も視野に入れた訓練を今後実施してまいります。
次に、停電時も含めた情報提供についてでございます。
発災直後の混乱の中、帰宅困難者に正確な情報を提供することは極めて重要であり、都はこれまで、区市や民間事業者と連携し、防災行政無線や大型画面を活用して情報を提供する体制を整えてまいりました。
首都直下地震の発災時に都内の相当な地域で停電が起きると想定をされており、帰宅困難者に対する情報提供に支障を来すおそれがございます。このため、公共施設においては、自家用発電設備の整備や燃料の確保などにより電力を確保し、安定的な情報提供に向けた体制を整えてまいります。また、鉄道事業者や業界団体などに対し、駅における情報提供体制の整備や予備電源の確保などの対策を要請し、情報提供機能の確保を促してまいります。
次に、民間施設における受け入れ拡大と備蓄についてでございます。
今回の震災では大量の帰宅困難者が発生したため、都は区市町村と連携して一時待機施設を開設し、帰宅困難者に対して食料や飲料水などの提供を行ったところでございます。
首都直下地震が発生した場合には今回と異なり、被災した多くの住民を避難所に受け入れる必要があることから、帰宅困難者のための一時待機施設の確保は大きな課題でございます。このため、公的施設はもとより、民間事業者の協力を得て、駅周辺のビルや施設などにおける一時受け入れ施設の設置と備蓄を推進する必要がございます。
今後、帰宅困難者対策について検討する協議会において、民間事業者に対し、顧客保護を含めた一時受け入れの拡大や備蓄の促進について協力を要請してまいります。
次に、石油タンクの長周期地震動対策についてでございます。
石油タンクの安全確保対策の推進は、本来国が行うべき責務であり、九都県市ではこれまでも、十勝沖地震の長周期地震動により石油タンクで火災が発生したことなどを受け、長周期地震動対策などについて国に要望を行ってまいりました。
今回の震災では、東北地方等に加え、東京湾沿岸でも市原市や船橋市、川崎市の石油タンク等で、火災や配管が破損するなどの被害が発生したところです。こうしたことを受け、国は被災した施設の実態調査を行い、地震対策等の検討を行うこととしております。
今後、東京湾内の石油タンクの安全性の確保等について、九都県市で緊密に情報交換を行うとともに、長周期地震動対策等について引き続き国に要望をしてまいります。
次に、東京湾の津波、高潮対策についてでございます。
今回の東日本大地震では、巨大な津波によって多数のとうとい人命が失われたことから、多くの都民が津波や高潮に対して不安を感じております。
都は、平成三年に東京都防災会議において津波の想定を行い、これに基づき、水門や外郭堤防の整備等のハード対策や、避難誘導などのソフト対策に取り組んでまいりましたが、東日本大震災を踏まえ、津波の専門家の参加を得て、従来の想定について最新の分析手法やデータを用い、再検証を行ってまいります。この成果をもとに、現行の津波、高潮対策について必要な見直しを行い、東京都防災対応指針において対応の方向性を示すとともに、来年夏の地域防災計画の修正に反映をさせてまいります。
最後に、放射能対策への首都大学東京の協力についてでございます。
首都大学東京の都市教養学部や健康福祉学部では、放射性物質や放射線の人体への影響などについて教育、研究を行ってきております。
福島第一原子力発電所事故の発生以来、大学は水道局や港湾局と協定を締結し、東村山浄水場の水道水や東京湾内の海水の放射性物質の測定を継続して実施してきております。今後、さらに福祉保健局などが行う放射線量の測定分析に、大学が有する学術的、専門的な知見を生かした助言を行うなど、積極的に協力するとともに、公開講座により、都民の放射能に関する正しい知識の啓発を進めてまいります。
こうした放射能対策への取り組みを通し、首都大学東京として、都民生活の安全・安心に寄与してまいります。
〔生活文化局長並木一夫君登壇〕

〇生活文化局長(並木一夫君) 二点のご質問にお答えいたします。
初めに、被災地における文化交流の取り組みについてでございます。
被災された方々の心をいやし、夢や希望を与えるには、ご指摘のとおり、芸術文化の持つ力を活用することが有効であり、今回の緊急対策でも、被災者に対して芸術文化活動を提供するなどの事業を展開することとしております。
具体的には、郡山市などで好評であった東京都交響楽団による演奏活動のさらなる展開を図るとともに、マジックやパントマイムなど、一般の方に親しみやすく、大がかりな舞台を必要としないヘブンアーティストを被災地に派遣してまいります。さらに、これまでの都の文化事業におけるネットワークを生かしまして、劇団やNPO等の民間団体に幅広く呼びかけ、被災地の復興状況や地元の方からのニーズ等に応じたアーティストの派遣に積極的に取り組んでまいります。
次に、私立学校における震災時の児童生徒等の保護に対する都の支援策についてでございます。
私立学校においては、児童生徒等の安全の確保については、各学校が責任を持って対処しております。
今回の大震災では、交通機関がストップし、都内の私立学校においても、多数の児童生徒等や保護者が帰宅困難となりました。とりわけ私立学校では、比較的遠くから通学している児童生徒等が多いこともあり、子どもの安全確保のため校内に宿泊させた事例も多くございました。
こうしたことから、各私立学校においても、帰宅困難となった児童生徒等の安全を確保できる環境を整備することが極めて重要でございます。
このため都は、都内私立学校において、児童生徒等を一定期間保護するのに必要な水や食料、毛布などの物資を備蓄できるよう、緊急対策として新たに補助を行うことといたしました。今後、各学校に対し、補助制度の周知徹底を図り、利用を促進することにより、都内私立学校に通う児童生徒等の帰宅困難者対策を進めてまいります。
〔スポーツ振興局長笠井謙一君登壇〕

〇スポーツ振興局長(笠井謙一君) スポーツを通じた被災地支援についてでございますが、被災地では体育施設が損壊したり、避難施設として利用されるなどにより、子どもたちがスポーツに触れる機会が制約されると認識しております。
一時避難施設として都が運営いたしました東京武道館や味の素スタジアムでは、お話のサッカー教室などのほか、慰問に訪れた横綱白鵬関を初めとする力士たちと子どもたちとが相撲をとったり、四股を踏むなど、一緒に体を動かせる場を提供し、避難所生活のストレス軽減を図っておりました。
今後は、被災地域の子どもたちを東京に招待し、東京で開催される国際大会など、注目度の高いスポーツ大会を観戦する機会を提供してまいります。また、ホームステイなども含め、東京の子どもたちと交流しながら合同練習を行うなど、スポーツで体を動かせる機会も提供してまいります。
さらに、アジア十五都市からジュニア選手を招聘し、八月に東京で開催いたしますジュニアスポーツアジア交流大会におきまして、今年度は被災県からも選手を招き、各都市選手とバドミントンや柔道の交流試合などを行う予定でございます。
こうした取り組みを通じまして、被災地の子どもたちが明るい夢を持ち、元気を取り戻せるように支援してまいります。
〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

〇福祉保健局長(杉村栄一君) 六点のご質問にお答え申し上げます。
まず、大規模震災に備えた保育施設への支援についてでございますが、保護者が迎えに来るまで児童を安全に預かることは、保育施設の基本であり、今回の発災当日におきましても、数多くの施設が児童の保護に夜を徹して対応いたしております。
こうした教訓を踏まえまして、長時間の保育を急遽実施することになった場合にも、児童が安心して保育施設で過ごせるよう、都は新たに水や非常食等の備蓄品の購入等に要する経費について、包括補助制度を活用し、区市町村を通じて支援することといたしました。
今後も、災害時の児童の安全を確保するため、区市町村と連携し、保育施設に対して防災体制の充実を働きかけてまいります。
次に、都内被災世帯への支援についてでございますが、お話しのように、今回の東日本大震災における都内の住宅被害の状況は、六月十三日現在、全壊十一棟、大規模半壊と半壊を合わせて百二十八棟となっておりますが、被災者生活再建支援法の支給要件を満たしておりません。また、住宅の半壊被害は法の支援対象となっておりません。
東日本大震災は、広域にわたり甚大な被害を及ぼしており、都道府県や区市町村ごとに対応するのではなく、国が統一的な対応を行うべきでございます。そのため、都といたしましては、同一の災害で被災したすべての地域が対象となりますよう、被災規模に関する適用要件の緩和や、支援対象世帯の拡大を国に提案要求をしてまいります。
これらが実現するまでの間の被災世帯への支援につきましては、地元自治体の意向も踏まえまして、連携しながら今後具体的に検討してまいります。
次に、放射線対策に関する四点のご質問にお答えいたします。
まず、降下物による健康影響についてでございますが、都内では、昭和三十二年から、海外の核実験等により飛来した放射線を出す物質、いわゆる放射性物質が、雨やちりとしてどの程度落下してきたかを確認するため、降下物中の放射性物質の測定を行ってまいりました。現在は新宿区の健康安全研究センターで測定を行っておりまして、福島第一原子力発電所の事故発生後の三月十八日からは、毎日測定を実施いたしております。
降下物のうち、セシウム137のこれまでの測定値を見ますと、三月二十日に初めて一平方メートル当たり五百六十ベクレルが検出された後、翌二十一日には、お話のように、測定開始以来の最高値でございます五千三百ベクレルへ急上昇いたしました。その後、三月二十二日には三百三十ベクレル、二十三日には百六十ベクレル、二十四日には三十七ベクレルと、測定値は急速に低下をいたしまして、五月十四日を最後に検出されておりません。
こうしたことから、三月二十一日に測定された高い数値は、事故発生後に初めて降った雨とともに、大気中に飛散していた放射性物質が降下してきたためであると推測されます。
ただ、この降下物の測定単位といたしまして使われておりますベクレルは、放射性物質が持っている放射線を出す能力をあらわすものでございまして、降下物の測定結果からそのまま人体への健康影響を判断することはできません。人が放射線を浴びた健康影響を評価する際は、放射性物質から放出される放射線量を用いる必要がございます。
この数値はシーベルトの単位であらわされますが、降下物測定と同じ場所にあるモニタリングポストで計測された三月二十一日の大気中の放射線量は、平均で一時間当たり〇・〇九六九マイクロシーベルトでございまして、健康に影響を及ぼすレベルではございませんでした。
これまでの測定値はすべてホームページで公表しており、今後、お話のように、文部科学省が月間降下物のデータを発表した際にも、客観的なデータに基づきまして、健康影響に関する情報を広く都民に提供してまいります。
次に、都独自のモニタリング等についてでございますが、土壌からの放射線量の状況につきましては、大気中の放射線量を地表に近い地点で測定することによりまして把握できるとされております。
そのため、都は六月十五日から、都内百カ所で、地表面から五センチメートル及び地上一メートルの高さで放射線量を測定し、土壌からの放射線の状況をより詳細に把握することとしております。
測定に当たりましては、地表面からの高さの設定を初め、首都大学東京からのさまざまな助言を得て実施しております。
測定結果はすべてホームページ等で公開しておりますが、一時間当たり〇・〇二から〇・二〇マイクロシーベルトの結果が出ております。この最大値でございます一時間当たり〇・二〇マイクロシーベルトを用いまして、一年間で受ける放射線量を自然放射線量等を除いて推計をいたしますと、〇・七九ミリシーベルトと試算されます。
今後の放射線量の測定に当たりましては、区市町村に貸与した七十台の小型の測定器に加えまして、保健所にも三十台測定器を貸与するとともに、都としても求めに応じて計測を支援してまいります。また、モニタリングポストの測定値が上昇した場合など、状況の変化があった場合には、改めて適切に対応してまいります。
次に、プールの水についてでございますが、昨年からプールにたまっている水には、原子力発電所事故に由来する放射性物質を含む降下物が蓄積していると考えられます。
この水に蓄積をしている放射性物質につきまして、健康安全研究センターで測定をしております、本年三月十八日から六月一日までの降下物の積算量に、半減期を考慮した上で試算をいたしますと、通常のプールで深さを平均一メートルと仮定した場合、水一リットル当たり放射性沃素が約〇・二ベクレル、放射性セシウムが約十三・四ベクレルとなります。この値は、飲料水の摂取制限に関する指標でございます沃素三百ベクレル、セシウム二百ベクレルを大きく下回る数値でございまして、清掃に当たっての問題はございません。また、現時点では、新たに降下物中や水道水から放射性物質が検出されていないことから、水を入れかえたプールを例年どおり使用しても問題はございません。
次に、モニタリングポストの設置場所についてでございますが、都内では、昭和三十二年に海外の核実験や原子力発電所の事故に由来する大気中の放射線量の変化を継続的に把握するための測定を開始し、現在は健康安全研究センターにモニタリングポストを設置し、測定いたしております。
今後、都内の状況をより広域的かつ迅速に把握するため、新たに二カ所設置する予定でございます。増設するモニタリングポストの設置場所につきましては、こうした設置目的やご指摘の点も踏まえまして、今後検討してまいります。
最後に、都民に対する情報提供についてでございますが、都は、都民の不安を解消するために、ホームページにおきまして、大気中の放射線量などの最新データを公表いたしますとともに、外出先でも情報を入手できるよう、都内五カ所の街頭ビジョンにおいて、最新の放射線の測定結果を放映いたしております。
また、電話相談窓口を設置いたしまして、例えば、放射能測定の方法を教えてほしい、プールの水は安全かなど、四千件を超えるさまざまな問い合わせに対応してまいりました。
今後は、放射線に対します都民の理解をより深めるために、ホームページを再構築いたしまして、電話相談の実績も踏まえ、都民の関心が高い事項につきまして、適宜データ等を用いて解説するなど、内容の充実を図りますとともに、都民向けシンポジウムや学校関係者等への講習会を開催いたします。
こうした取り組みによりまして、都民に対し、放射線のリスクの程度や必要な対応に関する情報提供に努めてまいります。
〔港湾局長中井敬三君登壇〕

〇港湾局長(中井敬三君) 東京港の水門や防潮堤の耐震対策についてでありますが、都は、阪神・淡路大震災を踏まえた首都直下地震などからの被災リスクを低減し、都民生活の安全・安心を確保するため、平成十八年度に東京港海岸保全施設緊急整備計画を策定し、二十七年度を目標年次として対策を進めております。
具体的には、首都東京を第一線で守る既設の外郭防潮堤や水門について、液状化に対する耐震対策などを実施してきております。これにより、外郭防潮堤については、計画の全延長について来年度中に完了する見通しとなっております。また、水門についても、計画の十五カ所のうち十一カ所について来年度中に完了する予定であり、残る四水門についても早急に取り組みを行ってまいります。
今後も、緊急にとるべき対応策や、防災のあり方などに関する技術検証委員会からの提言等を踏まえ、東京港の津波、高潮対策のさらなる強化に取り組んでまいります。
〔建設局長村尾公一君登壇〕

〇建設局長(村尾公一君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、地震、津波に伴う水害対策技術検証委員会の目的、取り組み内容とスケジュールについてでございますが、本委員会は、地震や津波などの専門家で構成され、河川、港湾、下水道施設などに関して、今回の大地震を踏まえた緊急対応等についての提言を行うことを目的としております。
具体的には、都の緊急点検の結果を踏まえ、堤防や排水機場の耐震性、電気、機械設備の耐水性等を検証するとともに、必要となる技術的な対策の検討を行います。
既に六月八日に委員会を立ち上げており、秋までに中間報告を取りまとめ、年内には最終提言を行う予定であり、これに基づき、必要な施策を速やかに実施してまいります。
今後とも、国や関係各局と連携を図りながら、東京の防災性の高度化に取り組んでまいります。
次に、液状化予測図の見直しについてでございますが、液状化予測図は、地域ごとの液状化発生の可能性を目安として示したもので、公共施設や民間建築などの液状化対策を検討する上で、基本となる情報の一つであると認識しております。
見直しに当たっては、東京都土木技術支援・人材育成センターを中心に、危険度の分類方法や情報提供のあり方などについて検討を行うとともに、新たに地質調査などを実施し、その結果をさらなる精度向上に活用いたします。
これらに加え、東日本大震災による新たな知見について、地盤の専門家などから意見を聞くとともに、国土交通省が本年五月に設置した液状化対策技術検討会議での議論の結果も踏まえ、反映させてまいります。
今後、年度内に地質データに基づいた地盤工学的な判定結果を関係各局に情報提供するとともに、地形や液状化の履歴、田んぼなどの土地利用の変遷をこの判定結果に加味し、平成二十四年度末を目途に液状化予測図の見直しを完了させます。引き続き液状化対策を積極的に実施し、災害に強い都市づくりに全力で取り組んでまいります。
〔下水道局長松田二郎君登壇〕

〇下水道局長(松田二郎君) 放射性物質を含む下水汚泥などの取り扱いについてでございます。
汚泥処理プラントを有する水再生センターでは、下水の処理過程で発生した汚泥を全量焼却し、灰にしてセメントなどへの資源化や埋立処分を行っておりましたが、現在は資源化を見合わせ、区部では灰の全量を、飛散防止措置をした上で埋立処分をしております。多摩地域では施設内に仮置きする措置をとっております。
下水汚泥の焼却によって生じる排ガスは、煙突から排出される前に、細かいちりなどを除去できる高性能フィルターなどに通し、その後、さらにアルカリ性の水によって洗うことで、固形物を九九・九%以上回収し、灰が施設外へ飛散することのないよう、適切に管理をしております。
水で洗った後の排ガスの成分につきましては、先般、専門機関に委託して測定をした結果、放射性物質は検出はされませんでした。
焼却灰の運搬に当たってはタンクローリーを、また、埋立処分先へは、焼却灰に飛散防止措置を施した上で、開閉式のふたがついたトラックを用い、さらに搬出の際にはタイヤや車体を洗浄しており、外部に灰が飛散することはございません。
作業については、既に安全対策を講じておりますが、今後、万全を期するため、厚生労働省など関係機関と協議しつつ、安全性を一層高める観点から、よりきめ細かな作業方法を徹底するなど、適切に対応してまいります。
これらのことから、一部報道にあるような放射性物質を含む灰が飛散する事実はなく、施設の敷地境界の空間放射線量は、都内の他の地域と変わらない数値となっております。また、脱水汚泥や焼却灰に含まれる放射性物質は、専門機関に委託して測定し、その結果を定期的にホームページで公表しております。
今後は、敷地境界の空間放射線量の測定は二週間に一回を毎週行うこととし、さらに、首都大学東京などの学識経験者の意見も踏まえ、測定を継続し、その結果をわかりやすくホームページなどで公表し、正確な情報を皆様にお伝えしてまいります。
〔環境局長大野輝之君登壇〕

〇環境局長(大野輝之君) 五点のご質問にお答え申し上げます。
まず、スマートグリッドについてでございますが、スマートグリッドは、電力会社が需要家との双方向の通信によって電力消費データを集約し、電力の需給が逼迫した場合には需要を自動制御することもできる仕組みであることから、大幅な電力不足が避けられない今夏、改めて脚光を浴びております。
都内では、昨年、小平市の約千二百世帯にスマートメーターが試験導入されたほか、大手町・丸の内・有楽町地区、いわゆる大・丸
・有地区におきましては、再生可能エネルギー、蓄電池、電気自動車等を組み合わせたスマートグリッドモデルの検討が始まっております。
都は今後、こうした民間の取り組みも参考にしながら、スマートグリッドの導入に向けた検討を進め、再生可能エネルギーや高効率発電設備など、自立分散型のエネルギー源の確保に向けた取り組みを推進してまいります。
次に、再生可能エネルギーの普及拡大に向けた取り組みについてでございますが、都はこれまで、太陽エネルギーを中心に再生可能エネルギーの普及拡大を進めてきており、今回の電力対策緊急プログラムでも、さらなる太陽エネルギーの普及に資する補助事業を実施することとしております。
一方、ご指摘のとおり、風況に恵まれていない都内におきましては、風力発電の普及拡大が進みにくい状況にございます。しかしながら、千葉や茨城などの近県におきましては、海岸沿いなどで風力発電が導入されている事例が見られ、広域的な視点で見れば普及拡大の可能性があると考えております。
このため、首都圏全体の電力供給の低炭素化を図る観点から、首都圏の各自治体とも連携し、広域的に風力発電の普及拡大を図る取り組みも検討してまいります。
さらに、都においては、既に公営企業で小水力発電を稼働させるとともに、都の呼びかけで開始しました波力発電の検討を生かした民間の技術開発の誘導や、青ヶ島での地熱エネルギーの活用調査など多様な再生可能エネルギーの普及に向けた取り組みも開始しておりまして、高効率な天然ガス発電とともに、再生可能エネルギーの拡大にも力を尽くしてまいります。
次に、自然エネルギーのパッシブ利用の家庭における普及強化についてでございますが、都はこれまで、建築物環境計画書制度におきまして、天窓や吹き抜けを利用して自然の光をそのまま活用する建築物に高い評価を与えるなど、自然エネルギーのパッシブ利用の促進に取り組んでまいりました。東京を低炭素型都市とし、より少ないエネルギーで快適な生活を送れるようにするためには、建築物だけでなく、これまでの生活様式を見直し、可能な限り自然の力を活用するライフスタイルへの転換を進めていく必要がございます。
今後、区市町村と連携して、省エネに関するフェアや防災フェアなど都民と接する機会をとらえ、緑のカーテンにより日差しを遮ることで室温上昇を抑えるなど、パッシブ利用に関する普及活動を強化してまいります。
次に、瓦れきなど災害破損物の受け入れについてでございますが、被災地の早期の復興には、災害破損物の速やかな撤去が不可欠でございます。このため、都は、被災した自治体の意向や実情を踏まえ、現地で新たに処理施設を整備するよりも早急な処理が可能で、被災地の事務負担を軽減することができる、都と都内の自治体、廃棄物事業者が協働で取り組む受け入れスキームを構築いたしました。
都のスキームは既に、国及び岩手、宮城両県に提案しておりますが、現在、県レベルだけでなく被災した市町村とも直接連絡をとり、具体的な処理方法の説明を進めております。
また、都内自治体や民間事業者と処理契約の締結に向けた準備を進めるほか、現地において、受け入れる廃棄物の性状を確認し、被災地の地元自治体など関係者に分別方法を勧めるなど、早期の受け入れ体制に向けて精力的に調整を進めてまいります。
最後に、災害破損物のリサイクルについてでございますが、今回受け入れを行います災害破損物につきましては、極力分別してリサイクルすることを原則としております。
具体的には、プラスチックを含む可燃性廃棄物につきましては、発電設備を有する都内自治体の清掃工場や民間の焼却施設でサーマルリサイクルを行います。また、良質な木くずにつきましては、リサイクル技術を有する事業者と協力して、これをチップ化した上でバイオマス燃料として活用したり、木質ボードとして再利用するなど、積極的にリサイクルを推進してまいります。